<広島7-5阪神>◇26日◇マツダスタジアム

 これが広島の強さだ。先発大瀬良が全身のつりを訴えて3回で降板するアクシデントも好調な赤ヘル打線が救った。ブラッド・エルドレッド内野手(34)の33号ソロを含む猛打賞で試合を優勢に進めた。同点とされた8回には菊池涼介内野手(24)が2点セーフティースクイズで決めた。これで2位阪神に1・5ゲーム差に戻した。今季のカープはズルズルいかない!

 広島が小技、大技で接戦をもぎとった。同点の8回1死二、三塁から2番菊池が一塁ゴメスの前にセーフティースクイズ。これで2走者がかえる鮮やかな勝ち越し劇だ。

 苦しい試合の流れを阪神に渡さなかったのは、7回にキング独走の33号ソロを放つなど猛打賞の活躍を見せた主砲エルドレッドの力が大きい。

 7回1死走者なしから阪神榎田の真っすぐをとらえ、センター左にたたき込んだ。「ストライクは積極的にいこうと思っていた。しっかり振れた。いい感触でつかまえることができたよ」と胸を張った。

 1回に先発大瀬良がいきなり3点を先制される苦しい展開をバットで引っ張った。その裏、1死一、三塁から左前へ、まずは1点を返す適時打だ。

 「追い込まれてから厳しいチェンジアップが来たがうまく打つことができたよ」

 1点差に迫っていた3回無死一、三塁ではバットを折りながら左前に同点打を放った。

 「スライダーだった。ノーアウトだったし余裕をもって打席に入れた。バットは折れたが、いいところに落ちてくれたね」

 この回に敵失で勝ち越しに成功。3点を失い、全身のつりを訴え、3回16人に投げただけで降板した大瀬良が敗戦投手になるのを救った。

 そして同点にされた直後の8回裏に出た菊池の勝ち越しスクイズ。不調を訴え、降板したルーキーをそのまま負けさせるわけにはいかない広島の意地が競り勝った。

 逆転勝ちで2位阪神に1・5ゲーム差、首位巨人にも3ゲーム差と迫った。うだるような暑さの中、マツダスタジアムを埋めた3万1553人観衆はカープナインの熱い戦いに酔いしれた。【編集委員・高原寿夫】