<中日1-2巨人>◇27日◇ナゴヤドーム

 巨人原辰徳監督(56)が、チームにムチを入れ、接戦を制した。後半戦に入って、苦しい戦いが続く中、坂本、長野と合わせ、「枢軸」と命名した村田、阿部をスタメンから外し、オーダーを構成。2人以上が外れたのは12年以降5度あるが、いずれも優勝決定後の消化試合だけ。試合中には井端が大竹、山口に助言を込めた“ムチ”を入れ、前日の試合でフェンスに激突した亀井は、“ムチ打ち”のような状態の中、決勝の犠飛を放った。

 ナゴヤドームに2度、どよめきが起こった。「7番、サード井端」。村田が今季初めて、スタメンから外れた重みを物語った。「8番、キャッチャー小林」。続けざま、コールされたルーキーのスタメンにもまた、期待と驚きの声が交じった。「本来はデンとしてほしい2人。ただ、チーム状況的にも全員で戦うということ。彼ら2人だけには頼らない戦いをしないと」。原監督は淡々と語る言葉の中に、2人の奮起と総力の結集を求めた。

 坂本、長野と合わせ、4人はチームの「枢軸」と呼ばれる。12年以降、阿部と村田が同時に、スタメンを外れたのが初めてならば、「枢軸」2人が外れたのも、優勝決定前では初めてだった。村田は連続試合出場が676でストップ。原監督は「本当は中心のバッターで出てもらいたい。(坂本と)長さん(長野)に加わってもらうと、ニュージェネレーションという感じになる」とムチをひといれ。「しょうがない。現状がこうだから」。村田は自身を責め、奮起を誓った。

 グラウンドでムチを入れたのは、井端だった。1回、連続四球で2死満塁のピンチを招き、マウンド上で大竹に「丁寧に投げすぎじゃないか?

 初回なんだから思い切って」と助言。「気持ちがリセットできた」大竹は、5月3日中日戦以来となる「7回の壁」を乗り越えた。8回に登板の山口にも、大島に2球連続ボール後、「リリースの瞬間だけ力めばいいんだ」とひと声。3者凡退に抑えた。

 決勝打は、敵地に“ムチを打たれた”亀井だった。前日の試合でフェンスに激突。この日の試合前、「1日たったら、ムチ打ちみたいな感じ」と冗談交じりに言った男の必死な思いが表れた。原監督は「踏みとどまった。決してチームがいい状況ではない中で、3つ目を粘り強く取っておくのは重要です」と締め、チームの総合力で奪った1勝を評価した。【久保賢吾】

 ▼巨人は阿部と村田がスタメン落ち。村田が巨人へ移籍した12年以降、2人がそろって先発から外れたのは初めてだ。坂本、長野、阿部、村田の4人のうち2人以上が先発から外れたのは12年以降で6度目だが、これまではすべてリーグ優勝決定後の試合だった。2人は途中出場もなく、村田は移籍後初の欠場。横浜時代の09年9月21日阪神戦からの連続試合出場が676試合でストップした。