<阪神0-4ヤクルト>◇29日◇甲子園

 ゴメスいません…ゴメンすいません完封負けだ。夏ばてを危惧された阪神4番マウロ・ゴメス内野手(29)が発熱で来日初の欠場となった。さらに新人捕手梅野隆太郎(23)は捕球が困難なほどの左手の腫れでこの日も出番なし。逆襲のシンボルが次々と戦列を離れ、今季7度目の完封負けを喫した。3連敗で首位巨人を追う足も止まり、90周年お祝いで緑一色の甲子園がどんより青ざめた。

 最後までホームが遠かった。9回、先発八木をやっとのことで引きずり下ろしたものの、バーネットに鳥谷、新井兄弟が三振に斬られ、試合終了。5安打完封負けを喫した。あれほど猛威を振るっていた猛虎打線が「0」に終わった。それも、そのはず。ゴメスと梅野、この日のオーダー表には7月の快進撃を引っ張ってきた役者2人の名前がなかった。

 まず4番ゴメスだ。試合前の練習から姿を見せず、来日して初めてスタメンから外れた。ベンチ入りはしたものの、最後まで出番はなし。開幕から不動だった4番打者を欠いた打線に対し、相手バッテリーはどんどん直球勝負を挑んできた。代役4番の新井も無安打に封じ込められた。

 「発熱です。そんなに長引くようなものではないことを祈るというか、願うしかない。治療にも行ったけど(先発で)出られる状態ではなかった。そういうケースがあれば(代打)1打席勝負と思っていたけど」

 和田監督がゴメスの症状を説明した。球宴後、21打数4安打、打率1割9分と失速気味だったゴメスは関係者に「日本の夏をなめていたよ」と漏らすなど、酷暑に参っていた。それが体調不良へとつながってしまったとみられる。試合終了後にはレガーズを着け、バットを持っており、代打の準備はしていたようだ。

 またここ2試合連続でスタメンを外れた梅野は、指揮官の説明によれば、先の広島戦でファウルチップが左手に当たり、腫れがあるという。この日までに検査を行い、骨折でないことが判明したが、まだ捕球に支障があるため、マスクを鶴岡に譲った。思い切りのいいフルスイングで打線のアクセントになっていた元気印も、すぐに戦列復帰できるかどうかは微妙だ。

 「ダイジョウブ。トゥモロー!」

 球場を去る間際、ゴメスは手を上げて言った。点滴を打つなどして、改善に向かっているという。交流戦以来、約1カ月ぶりの3連敗は、左腹斜筋肉離れの大和が出場選手登録を抹消された26日広島戦から始まった。キーマン、特に4番不在の影響は想像以上に大きい。和田監督の言葉通り打線の核が1日でも早く戻ってくるよう祈るしかない。【鈴木忠平】