<広島6-0阪神>◇22日◇マツダスタジアム

 キラの適時二塁打で4点目を失うと、阪神藤浪晋太郎投手(20)はがっくり肩を落とした。この日浴びた6本目の安打は、またしても左打者だった。5回1死一塁。146キロのツーシームが真ん中に入り、右中間へ運ばれた。序盤から失点を重ね、終わってみれば5回6安打4失点。わずか96球でマウンドを去る結果となった。

 「要所で相手打者にうまく合わされてしまいました。中継ぎ陣にも負担を掛けてしまい申し訳ないです」

 苦手とするデータが浮き彫りとなった。左6人をずらりと並べた広島に、結果的に攻略された。今季の被打率は右の1割8分8厘に対して、左は2割9分1厘まではね上がる。被本塁打が右の4本に対して左は1本ということもあり、藤浪はそれほど気にしていない。だが、今後各チームが左打者を並べてくる可能性もあるだけに、克服は必要不可欠となる。

 「自分としてはあまり嫌なイメージはない。ただ、制球、球種をいろいろ投げるとか、やっていきたいと思います」

 中西投手コーチも今後を見据え「こういうオーダーを組んでくる。基本は直球だけど、カットボール、ツーシームをうまく使わないといけない」と配球面を含めて微調整を行うことを示唆した。5回の田中にはカットボールで3つの空振りを奪った。カットボールが左打者の膝元に決まると、普段通りの藤浪に戻った。

 立ち上がりの不安も解消する必要があるだろう。初回に松山に適時打を浴び先制を許した。これで3試合連続で初回に失点。中西コーチは「低めに行っていたけど、逆に拾われた。高低差を使えていなかった。修正していかないといけない」と指摘した。

 昨季からシーズン無敗だった広島に、通算10戦目にして初黒星を喫した。次週は中5日で28日巨人戦(東京ドーム)に向かう。負けられない戦いが続くなかで、対上位ローテに組み込まれた。ただで起き上がるつもりはない。直球は最速154キロを記録したように、状態が悪いわけではない。必ず対応し、夏男の本領を発揮する。【池本泰尚】