<巨人4-3中日>◇22日◇東京ドーム

 これが巨人の底力だ。今週4戦中3戦目となる延長戦。ドロー目前で決着をつけた。12回1死満塁。ホセ・ロペス内野手(30)が外角低めの149キロ直球を飛距離十分の右犠飛に打ち上げた瞬間、ドヤ顔で歩き出した。来日初のサヨナラ打で仲間から水をかけられ、「サムイ~」と日本語で震えた。「20イニングかかろうと勝つことが大事だ」と堂々と言った。

 練習中には阿部にハッパ?

 をかけられた。バント練習中に「ベネズエラからバントをしに来たわけじゃないだろう?」とジョークを飛ばされ、犠打も巧みな助っ人は苦笑い。試合では延長10回のサヨナラ機で痛烈なライナーを放ったが、三ツ俣の超美技に阻まれた。それでも最後の最後にヒーローになった。

 ロペスの尻をたたいた阿部は6日DeNA戦以来のスタメンマスク。試合前に中日谷繁兼任監督と目が合い「久々のスタメンだな?」とジェスチャーを送られ、軽く会釈した。敵ではあるが捕手として大先輩の前で、2回に右翼ポール直撃の特大14号ソロを放ち、守備でも延長12回に鋭い三塁送球で三振ゲッツーを奪うなど盗塁を2度刺した。「(延長戦で)ホームランを打ったことを忘れたよ。その後の2打席がヘボかった」と反省が先に出た。だが、原監督は「スローイング、ワンバウンド捕球にしても満点に近い。(阿部の先発捕手は)うちの本来の形だから」と評価した。

 長野が故障を抱え、台所事情は苦しい。11回の攻撃で代走鈴木を選択できたが、12回の守備でアクシデントが起きたことを想定すると、残る野手は捕手2人。起用を我慢した。昇格した西村を含めて好継投でしのぎ、最後に切り札を使い、球団2位の延長戦13勝目を挙げた。「胃が痛い?

 大丈夫、もう慣れた。選手が集中力を切らさず、ケガ人が出てもみんながカバーした。ギリギリの勝負は気持ちいい。そうたとえよう!」。驚異的な二枚腰が、今の巨人の最大かつ最強の武器だ。【広重竜太郎】

 ▼巨人はロペスのサヨナラ犠飛で前日に続き延長戦で勝利。巨人の2試合連続延長戦は7月30日DeNA戦、8月1日広島戦に次いで今季2度目だが、前回は○△。2試合連続の延長戦勝利は05年8月12、13日阪神戦以来、チーム9年ぶりだ。これで今季の延長戦は13勝5敗1分け。セ・リーグで延長戦に13勝以上は67年中日14勝、02年巨人14勝に次いで3度目となり、セ・リーグの延長戦最多勝利記録へあと1勝に迫った。