<巨人4-3阪神>◇26日◇東京ドーム

 阪神マウロ・ゴメス内野手(29)の豪快弾は空砲に終わってしまった。勝てば軽やかな40段の階段を重い足取りで上る…。信じられない結末に無表情のままだった。だが、主砲の存在感は消えない。両チーム無得点の4回。カウント2-2から、杉内が投げた甘いスライダーを見逃さなかった。強く振り抜くと、左翼に先制アーチを運んだ。

 「いい感触でとらえられたよ。杉内投手には今年ずっと抑えられていたけど、大事な試合で先制ホームランを打てたのは良かった」

 不動の4番らしく、強烈な先制パンチを見舞った。この打席を迎えるまで、杉内に12打数無安打で6三振。低めの変化球に惑わされてばかりだった。「ストライクを積極的に打つこと。ボールを見て、しっかりスイングすることだよ」。直前カードの広島3連戦は12打数1安打7三振。だが、大勝負で復調し、節目の20号ソロをかけた。

 都内の宿舎を出発前、ファンから「一番」と書かれた日の丸のはちまきをプレゼントされた。マートンとタクシーのなかでギュッと締めて勇躍、球場入り。和田監督も「それで試合に出るんちゃうよな」と笑うほど、ユーモラスな光景だった。意気盛んに敵地に乗り込み、全力を尽くした。

 阪神1年目助っ人の20本塁打は、99年ジョンソン以来、15年ぶりだった。長打力不足の課題を解消すべく獲得した大砲が期待通りに奮闘。チームでは10年のブラゼル、城島以来の20発突破だ。「まだまだ試合を残している。できるだけ多く5本でも10本でも打てるようやっていく。ヒゲも今のところは置いておくよ」。この日で86打点。1位の広島エルドレッド(91打点)も逆転圏内だ。打点王&30発を視野に入れ、最後まで全力疾走する。【酒井俊作】

 ▼ゴメスが4回に20号本塁打。阪神の1年目外国人助っ人で20号本塁打を放ったのは99年ジョンソン以来、15年ぶり11人目。112試合目、483打席目の20本塁打は試合数で9番目、打席数では最も遅い本塁打。