<巨人4-5阪神>◇27日◇東京ドーム

 へこたれない。あきらめない。阪神岩田稔投手(30)の粘りが終盤の逆転劇につながった。初回、村田に先制3ランを浴びる、最悪の立ち上がり。だが、2回以降は低めにスライダーを集め追加点を許さなかった。

 「村田さんに打たれた本塁打が悔やまれます。高めにいったらいかれると思っていたので、力んでしまった。立ち上がりがなければ…」

 13日巨人戦の前回対戦も序盤から失点していた。1回に先頭長野に先制弾を食らった。1回に2点、2回には2点と失点を重ねた。同じ失敗は繰り返さなかった。2回以降は許した3安打は全て単打。走者を背負っても踏ん張った。6回を投げ6安打3失点、6三振を奪った。5回2死一、二塁のピンチも、村田を二ゴロに打ち取り、打線の反撃を呼び込んだ。

 前夜は悲劇的なサヨナラ負け。負ければ自力優勝の可能性が消滅する窮地でマウンドに立った。重圧を受け止め、宿敵に立ち向かった。6年ぶりの2桁勝利は次回以降にお預けとなったが、先発としての役割は果たした。「チームが勝ってよかった」。マウンドを降りてからは、ベンチで声をからした岩田の言葉に実感がこもっていた。