<巨人4-0阪神>◇28日◇東京ドーム

 空調全開の東京ドームで秋風が吹いた。阪神がまた脱帽して、自力優勝の可能性が消えた。残り29試合、初の「自力V消滅」の響きは昨季より19試合も遅い。巨人が阪神戦以外の残り全勝という仮定も、まだ無理がある。ただ、延長の熱戦を制した翌日だ。あまりにも寂しい「伝統の一戦」だった。肌寒い敵地で今季9度目の完封負けだった。

 「数字上のことなので全く気にならないけど、(自力V消滅の状況を)消さないとアカンね。(沢村は)初回から飛ばしていたので我慢していればチャンスは来るはずだったけど。それにしても、今日はつけいるスキがなかったな」

 和田豊監督(51)はお手上げだった。今季2戦2勝だった沢村にグイグイ押された。初回は鳥谷、3回には先頭梅野がきれいに左前へはじき返したが、ほかは音無し状態。終盤3イニングは完璧に封じ込まれて今季ワーストタイの2安打、10個の三振を奪われた。

 続投方針が明らかになった指揮官は、試合前に「何も聞いておりません。(報道も)一切見ていない。今はその日に集中している」と、見ざる聞かざるを強調したばかりだった。「甲子園に帰って、また同じ状況で勝負できるように、もう1回(差を)詰めて。とにかく2週間。ここからは精神力の勝負」

 長期ロードは11勝10敗で、42年ぶりに2年連続勝ち越した。今日29日には、28日ぶりの聖地での一戦となる。広島が敗れたため3位転落は免れたが、巨人とは2・5ゲーム差。9月9日からの本拠地での宿敵との3連戦へ、今は必死に食らい付いていくだけだ。【近間康隆】

 ▼阪神の自力Vが消滅した。阪神は残り29試合に全勝すると90勝53敗1分け(勝率6割2分9厘)。巨人は阪神との残り3試合を全敗しても、他カードを全勝すれば91勝52敗1分け(同6割3分6厘)で阪神を上回ることができる。現時点のセで自力優勝できるのは巨人、広島、DeNA。