<日本ハム1-2ロッテ>◇8月31日◇東京ドーム

 日本ハム上沢直之投手(20)が、好投実らず7敗目を喫した。プロ最長の8回1/3を投げ5安打2失点。7回にロッテ・デスパイネにソロ本塁打を浴び先制され、今江にも1発を浴びた。相手エース成瀬との投げ合いで互角に渡り合ったが、白星には届かなかった。

 止まらなかった。堪えきれず、涙になってあふれ出た。日本ハム上沢が無念の黒星に泣いた。7回に2被弾で先制を許した。序盤からの奮闘は、むなしく散った。9回。ベンチに戻ると、すぐさま頭からタオルをかぶり何度も目をこすった。「先に点をやらないように、というのは誰しも思うこと」。プロ最長の8回1/3を投げ5安打2失点。赤く染まった瞳が、あと1歩で白星に届かなかった悔しさを物語っていた。

 スタートは快調に乗り切った。1回に四球が絡み1死一、二塁のピンチでも中軸を抑えた。2回以降はテンポ良く3者凡退。落とし穴は7回に待っていた。この日がケガからの復帰戦となったキューバの大砲、デスパイネに先頭打者ソロ。高めに抜けたスライダーを打ち砕かれた。「しょうがないではないけれど、切り替えられた」。気持ちに踏ん切りをつけ、前を向き直したが再び悪夢に襲われた。

 悲運は1球で決まった。今江への初球139キロ直球はダメ押しソロ。顔から血の気が引き、中堅を見つめたまま固まった。「失投でした」。悔やみきれない1発は尾を引いた。9回に暴投、四球で無死一、二塁のピンチを招き降板。栗山監督は「良く投げていた。かわいそうなことをした」とねぎらい、かばった。7月30日ロッテ戦で7勝目を挙げて以来、勝ち星に恵まれない。8勝目へ足踏みが続くが、上沢は「ストライクが取れていた。ボール先行も少なかった」と敗戦からも光明を見いだしていた。悲痛な思いは、涙に変えて出し切った。【田中彩友美】