<日本ハム4-7楽天>◇2日◇札幌ドーム

 惜別の1勝を届けることはできなかった。日本ハムは楽天に競り負け、8月10日のソフトバンク戦以来の連敗を喫した。2度リードしながらも8回にクロッタら中継ぎ陣が崩れ、終盤に逆転を許した。この日、引退表明した稲葉篤紀内野手(42)に勝利を送りたかったが空回り。勝負の9月は黒星スタートとなった。

 こんなはずじゃなかった。稲葉が今季限りでの引退を表明した日。過去にゴールデングラブ賞を獲得した思い入れのある右翼で痛恨のプレーが出た。同点の8回2死二塁。楽天嶋の打球は右翼後方への大飛球。この回から守備固めで投入された杉谷が右へ左へ、体を回転させながら背走。追いつけそうな打球も間に合わなかった。決勝の適時二塁打。7回も西川が右翼で適時失策を犯していた。手痛い守備が、かつての定位置で連発した。悔しい敗戦を見届けた大ベテランは、厳しい表情でベンチ裏へ引き揚げた。

 チーム全体の気合が空回りした。誰もが「稲葉のために」という思いがあった。6回までは最高のシナリオも突如、歯車が狂った。8回から3番手で登板のクロッタが誤算。2連続四球のあとに適時二塁打。試合の流れを失い、守備のリズムも崩れた。9回に登板した石井、白村も相手の勢いを止められず。栗山監督は「ああいう展開になって何が何でもというゲームだった」と悔やんだ。

 シーズンは残り26試合となった。稲葉と一緒に戦う日々は、どんどんカウントダウンされていく。1つの敗戦を引きずる時期ではない。栗山監督は「ミスはしょうがない。次につなげていくしかない」と選手にハッパを掛けた。有終の美を飾ってもらいたい-。そのためには悔いなき戦いを1戦1戦、続けるしかない。最高のフィナーレを用意するため、もう1度仕切りなおす。【木下大輔】