<阪神4-3DeNA>◇2日◇甲子園

 始まりは土砂降りだった。阪神ランディ・メッセンジャー投手(33)は際どい判定のたびに後ろを向いたり、ボールチェンジで球審に直接ボールを投げ返したり…。1回、グリエルの適時打で先制を許すと、制球が乱れた。2死からは3連続の四球で2つの押し出し。1試合平均1・92個だった四球を、1回だけで4個も出した。マウンドで組まれた円陣のなかでもイライラ。今成の制止がなければ危うく退場につながりそうなシーンまであった。

 「勝ったので最高だよ。チームに勝つチャンスを与えるという意味ではいい仕事ができたと思ってるよ」

 落ち着きを取り戻すと、2回からは曇り模様に。走者を背負いながらも、直球と低めの変化球がキレた。「過去は過去。何とか落ち着いていけたよ」。すると中盤以降は快晴に。こうなると、いい意味で手がつけられない。6回2死一塁から8回2死まで6者連続奪三振を記録。125球を投じてもマウンドに上がった8回は、4番ブランコ、5番石川をひねった。

 なんだかんだで8回7安打3失点。どぎまぎさせておきながら、サラッと球史に名を刻んだ。12奪三振で今季201Kとし、04年井川以来の大台に乗せた。これは、外国人枠が設定された52年以降では12球団を見ても助っ人史上最多。さらに通算10度目の2桁奪三振だ。

 「最高だね。去年(183K)は超えたいと思っていたし、区切りの数字だしね。でも、1球で打ち取るのがオレの理想だ」

 レジェンドの域に足を踏み入れたが、こだわりはないというから驚きだ。チームが久保の白星を阻止し、幸運にもハーラートップタイを維持。9敗目も消えた。快晴のメッセは汗をぬぐい、口笛を吹きながら、クラブハウスへと消えていった。【池本泰尚】

 ▼メッセンジャーが12三振を奪い、今季の奪三振が201個。シーズン最多奪三振のプロ野球記録は68年江夏(阪神)の401個だが、外国人投手としては64年バッキー(阪神)の200奪三振を抜いて最多記録となった。セ・リーグで200奪三振以上は04年井川(阪神=228個)以来で、阪神では8人目。

 ▼2桁奪三振は通算10度目。11年1度、12年1度、13年4度、14年4度。セ・リーグ外国人投手では郭源治(中日)と並び2位タイ。1位はメイ(阪神、巨人)の11度で、あと1に迫った。