<DeNA1-2中日>◇17日◇横浜

 中日は大野雄大投手(25)が2年連続2桁勝利に王手をかけ、4位に浮上した。最速149キロの真っすぐを軸に7回を6安打1失点。2年連続10勝以上の左腕となれば、球団では00~01年の山本昌以来13年ぶり。DeNA戦の勝ち越しを決め、奇跡の大逆転CSへ、5・5ゲーム差で前回3連勝した3位阪神との3連戦(19日から甲子園)にいちるの望みをつないだ。

 大野がこん身のガッツポーズでほえた。代打後藤の力ないゴロが遊撃に転がり、注文通りの6-4-3で併殺だ。「監督からサインが出た落ちる系の球をうまく低めに投げられました」。1点リードの7回1死一、三塁。この日最大のピンチを抑えると、2年連続2桁勝利に王手をかける9勝目の女神がほほ笑んだ。

 今季は開幕投手も志願しながら3連敗発進。1回KOされた4月のヤクルト戦では、試合中に名古屋へ強制送還された。ここへきて5戦負けなしの3連勝。6勝7敗で2桁勝利も絶望的と見られた状況から、赤丸急上昇で盛り返した。

 復調要因のひとつは投球スタイルの原点回帰だ。「強い真っすぐがあっての変化球と思い直し自分を取り戻せました」。谷繁監督らから「お前の持ち味はなんだ?」とカツを入れられ、変化球に頼っていた投球を修正した。最速は149キロ。逆球も多かったが「少々甘い球でも打ち取れる」球威で、7回をグリエルのソロだけに封じた。

 大ベテランの奮闘も励みになった。5日阪神戦で5回を0封した49歳の山本昌が史上最年長勝利を更新。その姿が強烈にまぶたに焼き付いた。「プラスしかない。すべてが勉強になりました」。同じ左腕の技だけではなく、感じるものがあった。「本当は僕ら若いのがもっと頑張らないといけない。僕がしっかり投げればこんなに負けなかった。情けない」。ふがいない自分への怒りを力に変えた。

 普段は大野に辛口な谷繁監督もうなずいた。「要所でいいところに投げていたし、意思が球に入り出してきていますね」。竜の左腕で2年連続2桁勝利を飾れば、00~01年の山本昌以来。大野も「あと1つ勝って乗せたい」と意気込んだ。今季先発機会はあと2回。「全部勝つつもり」と自己最多の11勝フィニッシュを狙う。

 DeNA戦の今季勝ち越しを決め、22日ぶりの4位浮上。逆転CSへ残り9試合で3位阪神との5・5ゲーム差は厳しいが、19日からの直接対決3連戦にかすかな望みをつないだ。【松井清員】