<楽天10-12日本ハム>◇21日◇コボスタ宮城

 日本ハム大谷翔平投手(20)が、プロ入りワーストの7失点を喫した。楽天戦に中7日で先発し、5回1/3で5安打、2本塁打を浴びた。打線の援護でリードしたままマウンドを降りたが、その後に中継ぎ陣が同点に追いつかれ勝敗はつかず。12勝目はならなかった。

 傷心を隠せなかった。大谷がプロ入りワースト7失点の大乱調で6回途中で降板した。楽天打線に攻略され序盤3回までに6失点。自身3度目の1試合2被弾と精彩を欠いた。稲葉ら野手の活躍でチームの連敗は止まったが、複雑だった。「勝てたのはすごく大きい」と気丈に話したが、自己分析は避けた。球団の高卒入団投手の2年目では06年ダルビッシュ(レンジャーズ)の12勝に並べるチャンスを、自滅で逃した。

 心身をフル稼働した粘投で5回1/3、110球を投げ切った。4点の援護をもらった1回、島内に先頭打者本塁打を浴びた。さらに2回には松井稼に振り出しに戻される3ランを喫した。いずれも直球。この日最速は155キロも、フォークなど変化球の精度が低く、狙い打たれた。4、5回は無失点も、6回はごまかしが利かず、もたなかった。「(課題は)自分では分かっている。自分で分かっていればいい」と詳細は口をつぐんだ。

 公式戦最終登板となる次回は、29日西武戦(札幌ドーム)が濃厚。この日で進出がさらに濃厚になったクライマックスシリーズ(CS)へ、プロ初のポストシーズンへと向かっていく。常に厳しく接してきた栗山監督は、この日は不問に付した。「(大谷)翔平に関してはいろいろなことがあるから。いい経験にしてほしい。次に生かしてくれればいい」。ほろ苦い思いを成長への良薬として、大谷が再スタートする。【高山通史】

 ▼大谷がプロ入りワーストの7失点。これまで1試合最多失点は5点だった(4度)。勝率は7割3分3厘(11勝4敗)のまま。現時点で勝率はパ3位だが、最高勝率のタイトルは13勝以上が条件。公式戦登板が予定通り残り1試合になれば勝率と最多勝利は届かなくなり、2リーグ制後初となる「二刀流選手」のタイトル獲得は厳しくなった。