中日が、独立リーグのルートインBCリーグ信濃で選手兼任監督を務め今季限りで現役を引退した大塚晶文氏(42)を来季の2軍投手コーチとして招聘(しょうへい)することが23日、分かった。巨人に大敗して28年ぶりの2年連続Bクラスが確定。投手陣の立て直しは急務で、日米で通算176セーブを誇る豊富な経験と、情熱的な指導に定評のある大塚氏に白羽の矢を立てた。

 2年連続Bクラスが確定した中日が、早くもV奪回に向けて動き出した。来季コーチとして大塚氏を招聘することが分かった。ポストは2軍投手コーチが有力だ。

 大塚氏は近鉄時代の98年に35セーブを挙げて最優秀救援投手賞に輝いた。抑えた時に絶叫する「ヨッシャー!」で人気者になった。中日に移籍した03年も、退団したギャラードに代わる守護神を務め、51試合にフル回転。現在の谷繁兼任監督とのバッテリーで2位浮上を導いた。

 メジャーの夢を追い、04年にポスティング・システムでパドレスに入団。セットアッパーとして73試合に登板し、05年は地区優勝にも一役買った。レンジャーズに移籍した06年は第1回WBCの日本代表守護神として王ジャパンの世界一にも貢献。右肘の手術などで08年から5年間所属先がなかったが、13年に独立リーグ信濃で復帰。今季から兼任監督を務めた。15日の新潟戦で7年2カ月ぶりの実戦登板を果たし、その試合限りで現役を引退した。

 中日はOBとして一時代を築いた情熱家で、日米での経験が豊富な大塚氏がテコ入れ役に適任として白羽の矢を立てた。Bクラス低迷の大きな要因となったのは、投手陣の不振とけが人の多さだった。開幕からローテーションを守っているのは山井1人だけ。開幕投手川上やカブレラらは不振のままシーズンを終え、吉見や浅尾、岩瀬、浜田ら故障者も続出した。若手の伸び悩みなどで、常に台所は火の車状態。来季巻き返しへ、2軍投手陣の底上げが急務となっている。

 この日は巨人重量打線の前に7回の1イニングで10点を失うなど15失点で惨敗。大塚氏は引退の日、「今日を区切りとして一流の指導者になりたい」と宣言した。かつての黄金バッテリー、谷繁監督とのタッグで恐竜復活を目指す。

 ◆大塚晶文(おおつか・あきのり)1972年(昭47)1月13日、千葉市出身。横芝敬愛-東海大-日本通運を経て、96年ドラフト2位で近鉄入団。03年は中日でプレーし、04年にパドレス入り。06年から2年間はレンジャーズ。通算成績はNPBが305試合で14勝23敗137セーブ。大リーグが236試合で13勝15敗39セーブ。182センチ、92キロ。右投げ右打ち。