大一番で新風を吹き込む。高卒2年目の阪神北條史也内野手(20)が今日29日、1軍に初昇格する。今季残り3試合。最終戦の10・1広島戦に向け、今日から本拠地甲子園でのDeNA2連戦は絶対に落とせない。2軍で絶好調の勢いそのままに、CS本拠開催への風を吹かせてみせる。

 2位浮上へ必勝の虎に、鳴尾浜で今もっともホットな男がやってくる。この日、鳴尾浜では北條が、練習を終えて育成阪口、風岡2軍内野守備走塁コーチ、古屋2軍チーフ兼打撃コーチと握手を交わすシーンがあった。1軍は今季最後となる本拠地ゲームが今日29日からDeNA相手に2試合ある。プロ2年目で将来が期待されるスラッガーは、真っ黒に日焼けした顔をグッと引き締めていた。

 夏場、気温がグングンと上昇するとともに、北條も調子を上げてきた。9月に入るとエンジン全開。同月の2軍戦11試合にフル出場し、38打数16安打6打点で打率4割2分1厘。3番にも定着し、平田2軍監督は「3番らしくなってきた。様になっているよ」と太鼓判を押していた。

 1年目から着実にステップアップしてきた。昨年は打率1割9分9厘で終えた。今季、春季キャンプでは安芸で掛布DCから膝を柔らかく使う「ヒゲダンス」打法をレクチャーされた。光星学院時代は本塁打を量産していたが、確実性を上げ「ホームランを狙わない」スタイルに変更。「ボールがよく見えている。状態もいい」と手応えを感じる日々を送ってきた。

 同い年ながら、すでに他球団では1軍で活躍する選手がいる。同じウエスタン・リーグで戦ってきた広島鈴木誠は、今月25日にプロ初アーチをマーク。光星学院でのチームメート、ロッテ田村は特に気になる存在だ。7月15日ソフトバンク戦で二塁手で出場したと聞くと「先に1軍で二塁を守られましたね…」と悔しさをにじませていたが、その思いをエネルギーに変えた。「負けられない。やってやろうと思いますね」。前を向き、1軍切符を手にしてみせた。

 高校時代には藤浪と決勝で戦い、甲子園を沸かせたスターの1人。慣れ親しんだ甲子園の舞台で、20歳の若虎が大暴れする。

 ◆北條史也(ほうじょう・ふみや)1994年(平6)7月29日、大阪・堺市生まれ。光星学院(青森)では4季連続甲子園に出場し、3季連続準優勝。3年夏の準決勝・東海大甲府戦ではバックスクリーン2連発。高校通算本塁打25本。12年ドラフト2位で阪神に入団。今季は2軍戦に102試合に出場し打率2割5分9厘。177センチ、72キロ。右投げ右打ち。