<楽天4-7オリックス>◇29日◇コボスタ宮城

 オリックスが、土俵際で踏ん張った。楽天に4点を先行されたが、5回に伊藤、7回に坂口の適時打で追い付き、8回にT-岡田外野手(26)が22号決勝3ラン。連敗を3で止め、10月2日のソフトバンクとの直接対決につなげた。最短4日に18年ぶりの優勝が決まる。

 左膝の痛みをこらえて三塁上に立っていたオリックス糸井が、打者より先にガッツポーズだ。打った瞬間、柵越えとわかる強烈な1発は、右中間スタンドでワンバウンドし、場外に消えた。本塁打王の実績を持つ長距離砲の真骨頂だった。

 勝たなければ瀬戸際の試合。8回、糸井とペーニャの連打から1死二、三塁の好機をつくった。ものにしなければ明日は来ない絶好機で、T-岡田が22号の決勝3ラン。「完璧でした。相手(のクルーズ)が球の速いピッチャーで、2球目に空振りしたとき、コンパクトに行かなければいけないとわかってしっかり修正できた。ぼくたちは勝つしかない。本当に勝つしかありませんから」。そう、何度も同じ言葉を繰り返した。

 12勝右腕の西を先発に立てながら、序盤で4点のビハインドを背負った。それでも、今のオリックスはあきらめない。痛恨の失点を粘り強く取り返して行く。5回2死二、三塁は伊藤が中前にはじき返し、2点差。7回1死二、三塁は、代打で出た選手会長の坂口がグラウンドにたたきつけ、一塁手の頭上を越す同点打で執念を見せた。

 三塁走者で坂口は逆転のホームを狙い(結果はアウト)、左膝を痛めた。足を引きずり、ユニホームの背中を土まみれにしてベンチに戻って来た。ハイタッチで迎えた仲間の中で、坂口の背中の汚れを一生懸命にはらったのが6回で降板した西だった。ベンチが1つになって追い求めた勝利を、T-岡田が一振りでものにした。大阪から仙台に駆けつけていた母美津子さん(61)も「絶対に負けられない試合で、いいところで打てて本当によかった」と、息子の勇姿に目をこらした。

 計り知れない1勝。これでソフトバンクとの最終決戦、10・2に望みをつないだ。森脇監督は言った。「オリックスは12球団で一番、あきらめの悪いチーム。それが一番の特徴であり、長所です」。それこそこの1年の戦いで身につけたチーム力だった。【堀まどか】

 ▼オリックスが勝ったため、ソフトバンクの最短Vは10月2日まで延びた。ソフトバンクは2日のオリックスとの直接対決に勝てば優勝。今日30日にオリックスが敗れれば、引き分けでも優勝できる。オリックスの最短V決定日は同4日。オリックスは、ソフトバンクに勝てば楽天との残り3試合を1勝1敗1分けで優勝できる。