ソフトバンク新監督に内定していた工藤公康氏(51=日刊スポーツ評論家)の就任が1日に発表されることが10月31日、決まった。チームを3年ぶりの日本一に導いた秋山幸二監督(52)が30日限りで退任。工藤新体制で新旧監督による2年連続日本一という前例のない偉業に挑む。この日、韓国サムスンのリック・バンデンハーク投手(29)をリストアップしていることも判明した。

 日本シリーズ制覇から一夜明け、ソフトバンクが早くも動いた。新監督の就任発表が1日に決定。工藤ホークスが正式に誕生する。新旧監督による2年連続の日本一はプロ野球史で成し遂げられていない。現役時代は実働29年で通算224勝。球界屈指の野球理論に、実績、経験ともに申し分のない名サウスポーに、史上初の偉業達成を託すことになった。

 新体制発足に向け、組閣も着実に進んでいる。楽天を退団した佐藤義則投手コーチ(60)鈴木康友内野守備走塁コーチ(55)の入閣が固まった。特に佐藤コーチはダルビッシュや田中将大を育てた名コーチ。今季も投手力を含めた守備力は高かったが、さらにスケールアップを目指す。

 球団は工藤新監督へのバックアップに全力を尽くす方針だ。頂点に立っても、戦力補強の手を緩める考えはない。今季メッツに所属した松坂大輔投手(34)の獲得調査に乗り出していることが判明。後藤芳光球団社長兼オーナー代行(51)はこの日「いい選手ですね。多くの選手を現場と相談しながら、チームにとって必要な戦力を若手の成長につながるように、総合的に判断したい」とチーム強化の思いを語った。

 常勝チームの継続には、投手力の充実は不可欠。松坂だけでなく、韓国サムスンの右腕バンデンハーク(29)をリストアップ。196センチの長身で、09年WBCのオランダ代表。先発として、今季は13勝4敗。最優秀防御率(3・18)最多奪三振(180個)のタイトルを獲得した。韓国球界の全日程終了後に、本格的な獲得調査に着手する模様だ。

 投打ともに若手の育成が実りつつある。これに即戦力補強をさらに加えれば、より強固な布陣になる。日本一の険しい道のりをいかに戦うか。工藤新監督の所信表明に注目が集まる。

 ▼優勝監督の後任

 2リーグ分立後では工藤監督が11人目。前任に続いて優勝したのは、86年西武森監督1人。85年パ優勝(日本シリーズ敗退)の広岡監督の後を受け、日本シリーズも制した。日本一監督の後任となると2人目。55年中日の野口監督は、前年54年日本一の天知監督に代わって就任したが、1位巨人と15ゲーム差の2位に終わった。工藤監督がリーグ連覇を果たせば2人目、連続日本一に導けば史上初となる。

 ◆リック・バンデンハーク

 1985年5月22日、オランダ・アイントホーフェン生まれ。02年にマーリンズと契約してプロ入りし、07年にメジャーデビュー。その後オリオールズ、パイレーツに所属。メジャー通算50試合、8勝11敗、防御率6・08。13年からは韓国サムスンでプレーし、2年間で49試合、20勝13敗、防御率3・55。196センチ、98キロ。右投げ右打ち。