ソフトバンク佐藤義則1軍投手コーチ(60)が11日、宮崎での秋季キャンプ合流初日からダメ出しを連発した。サブグラウンドで約10分のキャッチボールを終えた投手陣を突然、集合させた。「投手は距離を取って。大きく投げないと」と指摘。30メートル程度のキャッチボールではなく、もっと離れて体全体を使い、きれいな回転で投げる必要を説いた。「キャッチボールがヘタなやつはいい投手にはなれない」とピシャリ。ヨシイズムをさっそく注入した。

 ブルペンでは投手陣に課題を与えた。「フォーク以外の変化球は全部ストライクゾーンに投げなさい」。試合でカウントを悪くした時に、直球だけしか投げられないのでは、打たれる確率が高い。困った時にいつでもストライクが取れる変化球を最低1つは覚えてほしいと、このキャンプ中は徹底させるつもりだ。

 佐藤コーチは「マエケン(広島前田)だって困ったらほとんどスライダー。だから勝てるのよ」と具体例を示し、巽は「(際どい)空振りゾーンではなく、全部ストライクにという指示は初めて」と驚いた。最後は来季育成5年目を迎えるサイド右腕伊藤大をみっちり指導。伊藤大は「球持ちがよくなった」と納得顔だった。

 阪神では井川、日本ハムでダルビッシュ、楽天では田中を一流に育て上げた。工藤新監督からも自由に指導していいと指示を受けた佐藤新1軍投手コーチが、独自の視点で投手陣を底上げする。【石橋隆雄】