猛勉強で脱浦島太郎!

 ソフトバンク入団が決まった松坂大輔投手(34=メッツFA)が5日、福岡市内で王貞治球団会長(74)と会見に臨んだ。年俸4億円プラス出来高で3年契約。背番号18のユニホームに袖を通した。日本球界復帰は9年ぶり。球団から映像を入手し、オフ期間に日本ハム大谷ら自身にとっての「ニューフェース」を徹底的に研究すると意気込んだ。(金額は推定)

 ソフトバンクの背番号18を見せながら、松坂は晴れやかな表情で王会長とがっちり握手した。「今、このタイミングで帰ってくるとは思わなかった。最後は日本でプレーして終わると思っていたが、早かったですね」。

 自分のイメージより早かった日本球界復帰。それでも9年ぶりとなる。「いなくなって8年ですから、雰囲気や何かが変わっているものだと思っている」。日本球界の話題はネットのニュースなどで目にするくらいで、実際にプレーの映像に触れる機会はほとんどなかった。さっそくチーム関係者に、対戦相手の映像をお願いした。

 「名前と顔が一致する選手が少なくなっているし、全体的に見ておきたい。そのチームに対してもイメージをつくっておきたい」。親会社がIT企業のソフトバンクなら心配ない。選手には携帯端末のアイフォーンやアイパッドが支給され、球団専用のサイトも用意。過去3年分は全試合、すぐに見たい部分が再生できる。他チーム同士の試合も見られるすぐれものだ。

 中でも気になる存在として、日本ハム大谷の名前を挙げた。「1度見てみたい。彼の投げるスピードボールを見たい。打者としても優秀。対戦することも楽しみ」。映像で予習をしておけば、投打にわたり、大谷との新たな平成の名勝負が誕生するかもしれない。

 悩んだ末にソフトバンクを選んだ。「球団、会社の野球に対しての姿勢にすごく感銘を受けた」。長く常勝軍団をつくるため、実績十分の松坂には育成面も期待されている。「若い選手の壁になってほしい。そうでなければこのチームに未来はないと言われた。すごく責任を感じた。もちろん僕に答えられることがあればいくらでも話できますし」。成績で若手の壁になりながら、日米164勝の経験を惜しみなく伝える。

 11年6月に右肘手術をして以後、勝ち星が伸びていない。「不安に思われるのは当然。15年のシーズンが終わったころにはその心配はいらなかったと思ってもらえるように頑張りたい」と不安説を一蹴した。平成の怪物がソフトバンクで新しい伝説をつくっていく。【石橋隆雄】