ソフトバンクの3軍投手コーチに就任した入来祐作氏(42)が12日、ヤフオクドームでの就任会見で号泣した。憧れだった指導者となり、思わずうれし涙がこみ上げてきた。

 08年の現役引退後、横浜(現DeNA)で打撃投手を2年、用具係を4年務めてきた。裏方としての経験を聞かれると、目頭を熱くし、約10秒間、言葉を詰まらせた。「決して表に出ることのない人たちも一生懸命、何かチームの中で役に立ちたいという思いでやっている。そんな思いをくみ取っていける選手を育てたい」と人目もはばからず涙をぬぐった。

 工藤監督とは巨人で4年、横浜で1年間ともにプレーしてきた。当時、9歳年上の大先輩にトレーニングについて頻繁に質問していた。そんな研究熱心な姿が今回のオファーにつながった。指揮官からの電話が鳴ったのは11月1日。監督就任会見の当日で、DeNA秋季キャンプの準備で鹿児島・奄美にいた。「突然のことで頭が真っ白になった。言葉にならなかった」と振り返った。

 「俺もいつかは(コーチに)と思っていたが、実際は諦めていた。工藤さんからいただいたチャンス。気持ちの強い、チームを勢いづけられる投手を育て、工藤さん、そして選手たちの役に立ちたい」

 DeNAではウナギの捕獲で「ネーチャー入来」として話題になり、CMにも出演した。引退から7年越しでつかんだコーチ就任の喜びは格別だった。涙を流した異例の就任会見。現役時代と変わらない熱さで、指導者としての道を歩んでいく。【福岡吉央】

 ◆入来祐作(いりき・ゆうさく)1972年(昭47)8月13日生まれ。宮崎県出身。PL学園-亜大を経て本田技研。96年ドラフト1位で巨人入団。03年オフに井出とのトレードで日本ハム移籍。06、07年はメッツ、ブルージェイズの傘下球団で過ごし、米マイナー通算41試合8勝14敗、防御率4・56。08年は横浜に入団し1年で引退。日本通算215試合35勝35敗3セーブ、防御率3・77。09年から横浜の打撃投手になり、制球難のためすぐに用具係へ配置転換。今年は缶コーヒーのCMに出演。現役時代は174センチ、80キロ。右投げ右打ち。