2冊の本をプロ野球人生の糧とする。巨人ドラフト1位の岡本和真内野手(18=智弁学園)が6日、川崎市のジャイアンツ寮に入寮した。読書好きの岡本は、必要最低限の荷物の中に2冊の本をしのばせていた。プロ野球生活のバイブルになりそうな書物で「心」を冷静にし、さらなる高みを目指していく。

 2冊の本をひっさげ、岡本がプロ野球の門をたたいた。人生初の寮生活。ヤンキースのリュックの中には「武士道」と「紙つなげ!

 彼らが本の紙を造っている」という本をしのばせた。「音楽は携帯で聴ける。あとは生活に必要なものだけです」。他の新入団選手よりも少ない荷物は、野球に集中するんだという巨人ドラフト1位の自覚と覚悟の表れだった。だが、本だけにはこだわった。

 年間30冊の本を読破する。心を落ち着かせるために読書を始めた。好きな本は有川浩の「図書館戦争」と宮部みゆきの「レベル7」。「中学時代は釣りをして心を落ち着かせていたけど、高校に入ってからは時間がなくなったので、本を読むようにした」。野球に集中するために始めたことだった。母智代美さん(49)は「家ではあんまり読まないんですけど、学校で読んでるみたいです。もともとは読まない子だったんですけどね」と明かした。

 入寮に持参した2冊は、プロ生活を生き抜くためにとプレゼントされたものだった。教育者で5000円札の肖像にもなった新渡戸稲造の著書「武士道」は、智弁学園の藤田清司理事長から贈られた。智弁和歌山の理事長も務めており同校出身の巨人坂口、中日岡田にもプロ入り時に贈った1冊だ。侍の社会道徳の規範が書かれているだけに、理事長からは「難しい本だけど読んで」と手渡されたという。「大変そうですね」と苦笑いしたが「しっかり読んでみます」と引き締めた。

 もう1冊は、FA移籍した杉内には釣りの本を、大竹にはラーメン本を贈ったことがある巨人原沢球団代表兼GMから、本好きの岡本を思いプレゼントされた。東日本大震災からの復興を目指す日本製紙石巻工場の姿が描かれている。人の気持ちを思いやれる人物になってほしいという願いが込められている。まだ読み始めていないが「読もうと思います」と誓った。気は優しくて力持ち。巨人の未来を背負う大物に成長すべく、巨人岡本の野球人生がスタートした。【細江純平】