直球にこだわる。広島の前田健太投手(26)が30日、マツダスタジアムでトレーニングを行った。年末年始には体調不良で体重が減ったが、28日まで都内のジムで肉体強化。万全な状態に仕上げてきた。明日2月1日からの春季キャンプでは、原点に立ち返り、投球の軸となる直球を追い求めていく。

 キャンプ地入りを前日に控えた前田の表情は、引き締まっていた。28日まで都内で自主トレを続け、この日はマツダスタジアムでキャンプ前の最終調整を行った。

 昨季は5年ぶりに個人タイトル無冠に終わった。チームも2年連続の3位。このオフのポスティングシステムによる米大リーグ移籍を封印した右腕が、新シーズンに向けて動きだした。

 今春キャンプでは投球の基本とも言うべき、真っすぐの球速、球質の向上をテーマに掲げる。自身最速は153キロ。真っすぐも武器のひとつだ。しかし、前田の器用さが投球を変えた。ここ数年「きれいに抑えようとし過ぎた」ことで得意のスライダーなど変化球の割合が増した。「原点であるストレートを伸ばすことで、より変化球も生きると思う」。思うような結果が出なかった昨季、シーズン終盤以降に直球主体の組み立てに変更。一定の手応えを得てオフを過ごした。

 自主トレでは、一緒に汗を流した大瀬良や阪神藤浪ら後輩たちの存在が刺激となった。「一番年齢が上なので手を抜けない。後輩に見られているとやらないといけないという気持ちになる」。昨年末のインフルエンザと年明けの胃腸炎で一時は体重が4キロ減りながら、トレーニングで2キロ体重を戻しコンディションは上がっている。

 「僕はパワーがないなりに速い球を投げる方だと思うので、土台となるパワーを上げれば速くなると思う。1キロでも速くしたい。数字を追い求めるわけではないけど、球速が速くなれば、打者も速いと感じる」。

 例年になく球速へのこだわりを口にする。真っすぐを磨くことが投手としての成長につながると考える。「チームを優勝に導くのがエース」。そう言っていた右腕は、自身の理想像を真っすぐに見つめ、キャンプ地日南へ向かう。【前原淳】