外と思えば内角にリバース回転!

 中日の新外国人アマウリ・リーバス投手(29=台湾・統一)が評価を高めた。6日、ブルペンで89球を投げ、サイン交換をしながら変化球も交ぜた。セ・リーグ球団スコアラーは右打者の懐を攻めるシンカーに警戒。昨季のセ打撃3部門は全員右打者。メジャー経験のない右腕が力量を示し、1軍戦力をアピールした。

 カリビアン特有の体を大きく使ったフォームから、自在に変化球を操った。捕手のミットは構えた位置からほとんど動かない。来日前は速球とチェンジアップが最大の武器と評判だったが、実は北谷キャンプでは別の球種が目を引いている。右打者の内角に食い込むシンカーだった。

 視察した他球団の目はリーバスに釘付けになっていた。阪神飯田スコアラーは「驚いた。あの右に食い込んでくるシンカーは相当やっかいだと思う。狙ったところにしっかり来るし、右打者は手こずるんじゃないか」と警戒した。

 メジャー経験こそないが、ブルワーズ3Aでは長年、注目されていた。武器は140キロ台後半の速球に絡める変化球と、制球力。本人も、チェンジアップよりシンカーを得意とするようだ。「打者によって有効な球種が違うから、ウイニングショットも変わってくる」と詳しくは明かさなかったが、ブルペンの質の高さが証明している。

 憧れはレッドソックスなどで活躍したペドロ・マルチネス。219勝、サイヤング賞3度の同郷のヒーローのような投球スタイルを目指している。セ・リーグは本塁打王の広島エルドレッド、打点王の阪神ゴメス、首位打者の阪神マートン、さらにヤクルトのバレンティン、山田、巨人村田ら各球団に右の強打者がズラリ。他球団が要注意マークをつけるのも当然だ。

 この日は89球を投げた。捕手の松井雅にサインを出してもらいながら、シンカー、チェンジアップ、スライダーを試投。時折、首も振り、早くも実戦を想定した段階に入っている。

 「とにかく低めを意識して投げている。じゃないと打ち取れないからね」

 推定年俸3000万円のお値打ち右腕で、注目度はさほど高くなかったが、日に日に存在感を高めている。外国人枠の争い、そして20人近くにおよぶ先発争いを、リバース回転しながら勝ち抜いていく。【柏原誠】

 ◆アマウリ・リーバス

 1985年12月20日、ドミニカ共和国生まれ。05年に19歳でブルワーズ入り。メジャー経験なし。11年に3Aで先発として7勝12敗、防御率3・72。12年は3Aで主に中継ぎで5勝8敗、防御率5・24。昨季は台湾・統一でプレーした。189センチ、98キロ。右投げ右打ち。

 ▼中日ローテ争い

 リーバスが台頭すると、中日のローテーション争いは混沌(こんとん)としてくる。確定といえるのは山井、大野だけ。復活を期す吉見は好調だが、新人の野村、浜田智、新外国人左腕バルデスと同様にまだ評価を下す時期ではない。山本昌、川上のベテランも同様だ。朝倉、雄太らも元気で、争いは開幕直前まで続くとみられる。

 1軍4人の外国人枠は野手がルナ、エルナンデス、ナニータ、投手はリーバスとバルデス。野手3人の出来次第では投手が1人になる可能性がある。