開幕投手争いへ、バットで景気づけだ。阪神の沖縄・宜野座キャンプで14日、開幕投手を狙う藤浪晋太郎投手(20)がフリー打撃に登場。柵越え2発を放り込むなど打撃センスを見せつけた。今日15日の紅白戦では同じく開幕候補の能見と先発で投げ合うことが決まっており“二刀流”の実力披露で勢いをつけた。

 同い年の日本ハム大谷に負けない二刀流だ。開幕投手を目指す藤浪がバットでアピールした。メーン球場で投手陣のフリー打撃が行われた。87スイングで、2発の柵越えを放つなど快音を連発。昨年4月15日広島戦でマツダスタジアム右翼席にプロ1号を運んだ非凡なセンスを感じさせた。

 「2本だったのは不本意です。もっと打てると思っていました。でも逆方向に打てたのは良かった。何より楽しかったですし」

 例のクールな表情で藤浪は話した。山口投手コーチから左翼席へ。マシンの球を右中間へ。2発で観客を楽しませたが、自分自身もエンジョイしていた。

 もっともこのキャンプ、藤浪の打撃に対する姿勢は真剣そのもの。投手としての練習が終了後、室内練習場で黙々とマシンを相手に打ち込む姿が目立つ。投球同様、打撃にも本気だ。

 「投手は『9人目の打者』ですから。本職じゃないからといってバカにはできない。自分が打って得点が入ることもある。それに投手が打つと(試合の)流れが変わりますからね」

 打撃練習に対する理由を聞かれてのコメントも大まじめだ。投げて打って、勝つ。セのエースにしかできない理想を目指している。

 「もともと打撃に興味がある選手。もっと打ちたいと思っているだろう。投手の打撃は大事だからキッチリ磨いてほしい」。藤浪の打撃に、和田監督も笑顔を見せた。

 そんな藤浪の大目標は3年目での開幕投手だ。最大のライバル、メッセンジャーが譲らない姿勢を示したが簡単に引き下がるつもりはない。

 「ランディはそれにふさわしい成績だし、格で言えば能見さんもいる。でも、そこから奪っていくというつもりでやりたい」

 今日15日は紅白戦でその能見と先発で投げ合う。2イニングの予定で「チェンジアップ、カーブも試せれば。6人で終わらせられればいいですね」。強気の男の15年初実戦登板に注目だ。【編集委員・高原寿夫】<藤浪の初実戦VTR>

 ◆13年

 2月23日に初のシート打撃に登板。西岡、桧山ら主力打者延べ10人に1安打。紅白戦の登板はなく、初実戦は3月2日オリックスとの練習試合(安芸)。先発し2回無失点。1回無死一、二塁でT-岡田を3球三振。オリックス森脇監督は「球界の宝」と持ち上げた。

 ◆14年

 2月20日紅白戦2番手で初実戦。2回無失点。3者連続を含む4連続三振、最速150キロをマークした。