<首都大学野球:東海大8-0帝京大>◇第5週初日◇6日◇大田スタジアム

 今秋ドラフトの目玉、東海大・菅野智之投手(4年=東海大相模)が帝京大を2安打完封し、リーグ史上8人目の通算30勝を挙げた。序盤に6点の援護を受けたこともあり、最速157キロを誇る直球は144キロと抑えめ。完投時では自己最少91球の省エネ投球で7三振を奪い、通算10度目の完封。チームは先勝した。

 10日前に連続53回無失点の新記録を作ったばかりの東海大・菅野が、またもリーグ史に名を刻んだ。帝京大最後の打者を二ゴロに打ち取り、ポンとグラブをたたく。「長かったような、短かったような感じでした」。淡々と、だが少し笑顔で、史上8人目となる30勝到達の感想を口にした。

 完投時の自己最少91球という省エネ投球で節目の1勝を挙げた。最速157キロの直球は144キロに抑えた。今季は日体大戦で勝ち点を落としている。全日本大学選手権出場が懸かる逆転優勝に向けて、今日の2回戦での連投が頭にあった。精神的、肉体的に疲労がたまる中、パワーを最小限に抑えて2安打無失点。二塁を踏ませたのは9回の1度だけという、通算10度目となる完封劇だった。

 記念の地は「神宮に似ていました」という初めての大田スタジアム。青々とした人工芝に、記憶の中の神宮球場を重ねた。昨年の全日本大学選手権と明治神宮大会で、ともに決勝で敗れた場所。今年こそ日本一に。さらなる進化へ、新たな挑戦も試みた。

 これまでカウントを稼ぐ球だったカーブで、7個中4三振を奪った。5回以降は直球で追い込み、最後はカーブ。「いつもは走者が出たら速球だけど、(力を)抑えたままでやってみました」と攻め方のバリエーションを増やしている。今季リーグ戦初視察のヤンキースなど、メジャー5球団を含む日米12球団のスカウトにアピールした。

 30勝は、1年時からケガなく投げ続けた証しだ。「強い体に生んでくれた両親に感謝です」。8日は母の日。巨人原辰徳監督(52)の妹である母詠美さん(48)に「チームの優勝が一番のプレゼントになると思います」とにっこり。入学時に定めた目標は、リーグの最多勝記録を1勝上回る40勝。30勝は通過点にすぎない。【鎌田良美】