<都市対抗野球:日本製紙石巻7-3信越硬式野球クラブ>◇17日◇1回戦◇東京ドーム

 東北第1代表の日本製紙石巻(宮城・石巻市)が信越硬式野球クラブ(長野市)に逆転勝ちし、悲願の全国初勝利をものにした。序盤に2度勝ち越されたが、3回表、打者一巡(11人)で一挙6点を挙げて逆転。約1万人の大応援団を背に、震災後初の全国出場を白星で飾った。

 被災地の思いを背負った日本製紙石巻が全国初勝利に沸いた。三塁側には外野席まであふれる約1万人の応援団。木村泰雄監督(52)は「これだけたくさんの応援の中で勝てて最高です。負ける気はしませんでした」と感謝した。

 初回に先制され、2回表に追いついたが、その裏再び突き放された。だが、選手たちは粘りを発揮。3回に7安打を集中させて7-3と勝ち越した。補強選手で3回から救援した相原和友(23=東北福祉大-七十七銀行)が7回を4安打7奪三振で全国初勝利。木村監督は「粘り強くつないで逆転してくれた。補強の3人もチームに溶け込んで力を発揮してくれた」と、東北勢が一丸になった絆の野球を強調した。

 初出場の10年初戦はヤマハ(浜松市)に逆転負け。翌年3月の東日本大震災で石巻工場も大きな被害を受けた。津波で流された東北大会の優勝旗は4カ月後、がれきの中から発見され、「奇跡の青獅子旗」と呼ばれた。だがチームは昨夏まで2年間、全国出場を逃し続けた。地元の温かい支援に応えられないことがプレッシャーにもなっていた。

 この日の勝利で、その重圧は和らいだ。木村監督は「1つ勝てたので、勝利を積み重ねていきたい」。さらに上を目指していく。【佐々木雄高】