<東京6大学野球:明大8-2立大>◇第7週最終日◇28日◇神宮

 明大・高山俊外野手(3年=日大三)が今季最終試合の立大戦でリーグ通算100安打を達成した。5回、左前打を放って大台に乗せた。3年時の達成はリーグ史上初。明大OBのDeNA高田繁GM(69)が持つリーグ記録の127安打更新も見えてきた。明大は8-2で大勝し、勝ち点4として優勝の可能性を残した。王手をかけていた立大は3位が確定。残る早慶戦で2連勝したチームが優勝、1勝1敗なら明大の優勝となる。

 4球目の142キロの速球を捉えた打球が、ライナーとなって左翼手の前で弾んだ。先頭で打席に入った5回、明大・高山にはこの日3度目の挑戦だった。「監督から逆方向を意識して打てといわれたんで、そっち(左方向)だけ見ていました。イヤー、よかったです」。最終試合でやっと到達した通算100安打。喜びより安堵(あんど)感の方が先に来た。

 来年90周年を迎える東京6大学に100安打した選手は過去29人いる。30人目に加わったが、3年時の到達は高山が初めてだった。「そういわれて注目されたんで、意識してカベをつくった自分がいた。つらかった」。99本目から11打席ぶりに出た1本だった。

 狙い球を絞ったり、配球を読むタイプではない。常に自然体。来た球を打つという天才型の打者だ。「自分の感覚で『打てる』と思ったら振りに行きます」。広角に打てる。100本中この日のように左への打球が26本あった。さらに、50メートル5秒7という足もある。内野安打は16本を数えた。

 今春の開幕前に2年時の背番号「9」を「38」に変えた。100安打までの残り数字。善波達也監督(52)が与えたノルマだった。春19本を放ち、秋の背番号は20になった。「19は投手の番号だし、春を超えるという意味で」と高山が説明した。8回、同監督から声が飛んだ。「背番号に1本足りないぞ」。試みたセーフティーバントはファウルとなって、20本には届かなかった。

 来年はドラフトの目玉になる存在だ。つい5日前、高校-大学を通じての先輩となる山崎福也投手(4年)がオリックスから1位で指名された。「自分もそういう立場になりたいと思うようになりました」。その前に、大先輩の高田氏を48年にして超える安打が期待される。「目標ではなく、チームに貢献していく中で記録に挑めればいいと思います」。15年の注目男は笑顔も見せず、淡々と言い切った。【米谷輝昭】

 ◆東京6大学の100安打以上

 過去29人のうち19人がプロ入り。123安打の松下(慶大)はドラフト前に自らプロを拒否し、108安打の金光(法大)は近鉄1位指名を拒否するなど、プロ入りしなかった選手も実力者ばかり。現役では大城滉二(立大3年=興南)が28日現在で94安打を放っている。

 ◆他大学リーグでは

 東都大学リーグの通算最多安打は70~73年藤波行雄(中大。元中日)の133本(3年時97本)。首都大学リーグは77~80年原辰徳(東海大。現巨人監督)の144本(同99本)。関西学生リーグは88~91年田口壮(関学大。元オリックス)の123本。<高山俊(たかやま・しゅん)アラカルト>

 ◆生まれ

 1993年(平5)4月13日、千葉県船橋市。

 ◆球歴

 小学1年で野球を始め、船橋中央シニアでは遊撃手兼投手。七林中では陸上部に所属し200メートルで県大会4位。日大三では1年秋から正右翼手。甲子園は2年春に準優勝。3年夏は自らも決勝戦で3ランを放って日本一に輝いた。高校通算32本塁打。

 ◆バット

 長さ85センチのタイプを入学後から使用。

 ◆趣味

 音楽鑑賞と映画観賞。「映画館のゆったりとした雰囲気が好き」。

 ◆好物

 焼き肉。

 ◆仲良し

 上原健太投手(3年=広陵)。現在の同部屋は竹村春樹内野手(1年=浦和学院)。

 ◆家族

 両親と妹。

 ◆サイズ

 181センチ、84キロ。足は28センチ。右投げ左打ち。