西武渡辺久信監督(43)がドラフト1位左腕、花巻東・菊池雄星投手(18)のブルペンデビューに珍提案だ。1軍キャンプ帯同を内定している菊池が初めて投球練習を行う際、ブルペンの両側に速球投手を置かないことを決めた。「涌井、岸は隣で投げさせない。最初にプロってこんなもんかと思ってもらいたい」と狙いを説明。軟投派の投手や、実績のない若手を菊池の両サイドに配置し、自信をつけさせようという作戦だ。

 第一印象が大事。最初に見たイメージは、その後にも影響してくる。ファン目線からすれば、涌井と岸の間にはさまれて、菊池が力投する姿は最高の絵になる。ただ、一流投手を間近で見ると必要以上に力んだり、無理をしてしまうのが、ルーキーの常。しかも注目される菊池初登板となれば、多くのファンや報道陣に囲まれ、平常心を維持するのは難しい。自分のリズムをつかむまで、右の2枚看板はブルペンで菊池から遠ざけて様子を見る。

 期待の左腕がプロでも萎縮(いしゅく)せず、自信をもって投げることができれば、即戦力となる可能性は十分。「10年、20年に1人の逸材」と素質にほれこんでいる“恋人”に、ナベQ流で自信をつけさせる。【柴田猛夫】