福岡6大学秋季リーグが4日、開幕した。今秋ドラフトの候補、九産大の右腕・榎下陽大(4年=鹿児島工)は福教大戦で先発。9回2/3を投げて1失点。味方打線の援護がないまま0-1で敗れ、最後のシーズンは黒星スタートとなった。

 まさかの黒星スタートに榎下には言葉もなかった。「今日は勝てなかった。何もない試合でした」。数日前から右ひじに違和感があった。この日の最速は自己最速150キロには届かない143キロ。変化球主体に組み立て、9回まで無失点に抑えた。「初球から変化球を投げたことはあまりない。5~6割が変化球というのも普段はないですね」と榎下はこの日の投球を振り返る。

 いつもなら直球で三振を狙う場面も変化球でかわしたが、それでも12三振を奪った。だが味方打線の援護がなく、10回、先頭に二塁打されてスクイズで1失点。10回2死までとったが、次打者のカウント1-3とした時点で2番手の下平裕次郎投手(2年=伊万里商)にマウンドを譲った。「今日は打たなすぎ。1~2点あれば榎下なら勝てると思っていたけど」と大久保哲也監督(47)はわずか5安打に封じられた打線を嘆くしかなかった。

 ネット裏からプロのスカウトが視線を送った。「最後なので自分で納得した結果を残したい。4年間やってきたことすべてを出したい。もう負けられません」。プロ入りを目指す榎下にとっては大学最後のシーズンはすべてをかけた戦いになる。【前田泰子】