全日本大学野球連盟と日本高校野球連盟は11日、プロ入りを希望する選手に義務づけた「プロ野球志望届」の提出を締め切り、180人(大学85人、高校95人)が届け出たと発表した。大学生ではこの日、全日本大学選手権で1試合最多の20奪三振をマークした三重中京大・則本昂大投手(4年=八幡商)が提出。指名が3位以下なら社会人野球に進むと条件を公表し、25日のドラフト会議を待つ。阪神が上位候補としてリストアップしていることが分かった。

 三重中京大の154キロ右腕・則本が、滑り込みでプロ志望届を提出した。

 右腕が全国区となったのは6月の全日本大学選手権だった。1回戦で大体大と対戦。9回で18個、10回に2個の三振を奪い、20Kで1試合最多奪三振の大会新記録を樹立した。延長参考記録ながら「ある程度狙ってました」とソフトバンク大隣、ロッテ藤岡が持つ19Kを更新。一躍、上位候補に名乗りを上げた。

 実はこの時、すでに社会人野球の強豪・日本生命への入社が内定していた。しかし全国舞台での好投は自信となり、同時にプロへの憧れを強くした。話し合いを重ね、この日までにドラフト2位指名以上ならプロ、3位以下なら日本生命へ進むという条件で合意に至った。三重中京大は来年3月で閉校。同大からのプロ入りは過去、05年に大学・社会人ドラフト4位で西武入りした西川純司投手のみで、同大では最初で最後の上位候補だ。

 そんな右腕を阪神がリストアップしていることが分かった。この日、阪神は西宮市内の球団事務所でスカウト会議を行った。1位指名決定の藤浪以降をどうするかが、ポイントだったが、則本も上位候補の1人となった模様。実は中村GMが9月22日、東海地区大学野球リーグ、皇学館大戦を極秘視察。その目の前で則本は5安打完封(7回コールド)の快投を見せていた。守護神藤川のメジャー挑戦が決定的な情勢の中、最速154キロの速球と、3種類のスライダーが武器の右腕は「ポスト球児」の可能性を秘める右腕として、最終リストに残っている。

 ◆則本昂大(のりもと・たかひろ)1990年(平2)12月17日生まれ、滋賀・多賀町出身。小1で野球を始め、小5から投手。多賀中では軟式野球部に所属し、2年時に県3位。八幡商では3年夏に県4強。三重中京大では1年秋からリーグ戦に出場し、2年春、4年春に全日本大学選手権出場。いずれも初戦敗退だが、4年時は1試合最多の20奪三振で注目を集めた。178センチ、80キロ。右投げ左打ち。直球は最速154キロ。