決めるぞ、ジャンボ超えでコブラポーズ!

 ソフトバンクがドラフト2位指名した三菱自動車倉敷オーシャンズ・森唯斗投手(21=海部)が25日、岡山・倉敷市内の三菱自動車水島製作所で指名あいさつを受けた。出身高校の徳島・海部(旧海南)には元西鉄(現西武)投手でプロゴルファーの尾崎将司(66)がいる。森はプロ初勝利のお立ち台で、尾崎将が得意とするコブラ形のガッツポーズを決めると誓った。

 ドラフトで指名直後に涙した森の顔は、引き締まっていた。一夜明けた指名あいさつ。度胸満点のピッチングと同様に、勝ち気なコメントが並んだ。「ソフトバンクはいいチーム。早く投げたい。自分は強気なところが売り。プロに行っても強気に攻めたい。自信はあります」。

 最速146キロの直球と、130キロ台中盤のスプリットに自信を持つ。目標の選手は同タイプの楽天田中。マー君はピンチを抑えての雄たけびが有名だが、森もマウンド上で「オラッ!」と声を出す。「プロでも声は出ると思う」と雄たけび投法の継続を誓った。

 闘争心を前面に押し出すタイプだけに、ガッツポーズも見られそうだ。プロ初勝利を挙げた際には、偉大な先輩に敬意を表したポーズを決めるつもり。同じ海部高OBで、プロゴルファーの尾崎将のコブラポーズだ。勝負パットを沈めた時にドヤ顔とともに繰り出すが、森はお立ち台でこれを「やります」と誓った。

 尾崎将とは高校時代に対面したことがある。「学校でやった練習試合を見に来ていた。大きかった」。会話はなかったが、圧倒的なオーラを感じた。尾崎将はゴルフで通算113勝の世界プロツアー最多記録を持つが、プロ野球投手では在籍3年で未勝利に終わった。森が1勝すれば「ジャンボ超え」となるのだ。

 尾崎将とは出身地も同じ徳島・海部郡。ゴルフ転向を勧めたとされる元西鉄投手、監督の故・稲尾和久さんは漁師の子として生まれたが、森も伊勢エビ漁を営む父勝美さん(45)を高校まで手伝った。重い網を引いて腕っぷしを鍛え、時には漁船に乗ってバランス感覚を養った。父が所持する船は「千勝丸」。さすがに1000勝は厳しいだろうが、まずはコブラポーズを決めるべく、1勝目を目指してプロの扉をたたく。【大池和幸】

 ◆森唯斗(もり・ゆいと)1992年(平4)1月8日、徳島・海陽町生まれ。浅川小1年から外野手で野球を始める。4年から投手。海部高では1年からベンチ入り。2年秋から背番号1。甲子園出場はなく、県大会ベスト8が最高。今夏に伯和ビクトリーズの補強選手として都市対抗に出場。174センチ、74キロ。右投げ右打ち。

 ◆徳島県立海部(かいふ)高

 04年に海南、日和佐、宍喰の3校が再編統合され開校。野球部は尾崎将が海南高エースだった64年選抜で甲子園初出場初優勝した。主なOBに上田利治氏(元広島、阪急、日本ハム監督)プロゴルファー尾崎健夫、ボクシング元世界王者の川島郭志氏ら。