<プロ野球ドラフト会議>◇23日

 相思相愛だった。阪神から2位指名を受けた新日鉄住金鹿島の石崎剛投手(24=三和)は開口一番で「憧れの球団ですし、尊敬する藤川球児さんがいたチームなのでうれしい」。満面の笑みを浮かべた。元阪神で現カブスの藤川球児投手(34)を究極の理想に掲げる。「どんな所でもやれと言われたところで頑張るだけです」と抑えに回っても構わない姿勢だ。

 指先のスピンのかけ方を参考にし、直球の質に磨きをかけた。高校時代147キロが最速だった直球は、今や151キロ。本能的に備わる柔軟性も奏功した。「小学校で水泳の平泳ぎをやっていた」。両腕は体の前で伸ばした状態でも肘と肘がくっつく。

 エリート街道ではない。高校2年時は、部員が9人だけ。4人がけがで離脱。サッカー、ラグビー部から2人ずつ借りて秋の大会に出場した。その中で1試合22奪三振の記録もマークした。「まだ自分の実力が付いてない」とプロ志望届は提出しなかったが、それでもプロ全球団が視察。米大リーグ、マリナーズのスカウト陣も熱視線を注いだ。

 会見の途中だった。突然涙腺が赤くなった。「ばあちゃんの願いでもあったと思います。とりあえず、落ち着いたらしっかり報告したいと思います」。12年11月7日だった。大好きだった祖母房子さんが亡くなった。89歳だった。入社前は、いつもご飯の支度、洗濯…。身の回りの世話をしてくれた。「うちの剛はプロ野球選手になるんです。選手になったら大きな家を建ててもらうの」。ばあちゃんの口癖だった。天国で見守る最愛の人へ最高の報告ができた。<石崎剛(いしざき・つよし)アラカルト>

 ◆出身

 1990年(平2)9月9日、茨城県。

 ◆球歴

 三和北中の野球部では主に「6番投手」を務め、三和高3年夏は10球団26人のスカウトの前で、1回戦敗退。ドクターKとして注目され、2年秋から3年夏にかけて、430イニングで618奪三振。

 ◆球速

 最速151キロ。球種はスライダー、カットボールなど。

 ◆ニックネーム

 フーちゃん。

 ◆特技

 板金業者並みの車いじり。

 ◆サイズ

 182センチ、85キロ。右投げ右打ち。腕を広げた長さが、身長より長い。

 ◆50メートル走

 6秒2。

 ◆遠投

 110メートル。