フル代表でも「サムライ」の系譜を継ぐ。西武ドラフト1位の前橋育英・高橋光成(こうな)投手(17)が19日、群馬・前橋市内のホテルで入団交渉に臨み、契約金1億円プラス出来高払い5000万円、年俸1300万円で合意した(金額は推定)。2年生だった昨夏の甲子園を制した右腕は、将来的な侍ジャパン入りを目指すことを明かした。

 金びょうぶの前に現れた堂々たる青年は、胸に大きな志を抱いていた。身長185センチの渡辺SDより、3センチ上背のある高橋は、朴とつながら、はっきりと質問に答えた。「目標としているのは大谷選手。対戦したいのは中田選手です。(大谷は)スピードボールが一番の持ち味で、変化球の精度もある」。侍ジャパンの主戦投手と4番への意識を隠さない。さらに「日の丸を背負って投げたい気持ち、あります」と、自身の侍ジャパン入りという野望を明言した。

 9月にタイ・バンコクで開催されたU18(18歳以下)アジア選手権では、高校日本代表のエースとして、準優勝に貢献した。4番だった岡本は、くしくも同じ日に巨人と仮契約を結んだ。岡本と連絡を取り合う仲ではないが「また一緒に日の丸を背負って戦いたい」と話す。言葉はいらない絆がある。

 侍ジャパンの野望は無謀ではない。そう予感させる雰囲気がある。渡辺SDから「スケールが大きい。しっかりとチームの柱になって、長いこと、埼玉西武ライオンズのエースは高橋光成だと言われるようになってほしい」と言われると、「ランニングをしっかりして、1年目は体力をつけ、後半で1軍に上がれたらいい。先発を任されたら9回を投げられる投手になりたい」と堅実な返答。大谷ばりの160キロを目指すかと聞かれると「球速にこだわりはないです。体力を付けて、制球力を磨きたい」と、自己分析が出来ている。

 「(プロ入りで)群馬を離れるのは寂しい」と話す少年は、「実家のリンゴ園のお客さんが増えました。暇な日は、もいだり、草刈りしたり、リンゴ園の手伝いをしてます」と親孝行でもある。この日の交渉の場は、群馬出身の渡辺SDが「24歳のとき、僕が結納した格式あるホテル」。縁深いホテルから、大きな志への第1歩をしるした。【金子航】