日本ハム武田久投手(31)が、「パ・リーグ最高給守護神」になることが確実となった。3日、札幌市内の球団事務所で契約更改交渉を行い、7500万円増の年俸1億9000万円プラス出来高払い(金額は推定)で一発サインした。今季はセットアッパーから抑えに配置転換され、34セーブを挙げ最優秀救援投手のタイトルを獲得。2年ぶりのリーグ制覇に貢献し、球団の抑えとしては史上最高額を勝ち取った。

 小さな鉄腕が、金字塔を打ち立てた。約15分の交渉を終えた武田久が、口を真一文字に結び、記者会見場に現れた。「お金の話はほとんどなかった」と、7500万円増の1億9000万円で一発サインした。今季年俸1億2500万円のソフトバンク馬原を超えることは確実となり、パ・リーグ、そして球団史上でも最高額のクローザーとして、来季を迎えることになった。

 最大の評価ポイントは「勤続年数」だった。今季は55試合に登板と、4年連続で大台をクリアした。過去3年はセットアッパーとして、06年の75試合を最多にすべて60試合以上の登板を果たしてきた。4年間で計256試合登板し、うち日本一1度を含むリーグ優勝3度。球団側の評価も高く「ここ数年、フル回転していることも評価された」と納得の更改となった。

 手探りの中で難役をこなした証しだった。昨季まで3年間守護神を務めてきたM・中村が、昨オフ、巨人にトレード移籍した。その後釜を任されたが、当初は転向に拒否反応があった。それでもチーム状況を受け入れ1年間、まっとうした。「抑えでもう1年、やってみたい」。そんな感情も芽生えて決意したこのオフ、今後への期待と評価が反映された数字を見て、また気持ちを新たにした。

 昨年はテレビでもおなじみの北村晴男弁護士(53)を伴っての代理人交渉で話題を呼んだが、今年は金額で主役を張った。好成績の土台となった負けん気の強さには、さらに拍車がかかっている。「プロの世界は1年じゃダメって言われる。現役でやっている以上は誰にも負けたくない」。最優秀救援のタイトルとともに、球団のご褒美のような「2冠」で彩った1年。進化を目指す8年目へと向かう、武田久のスタートラインになった。【高山通史】