エッ、2ケタ勝利もアップなし!?

 中日朝倉健太投手(28)が7日、名古屋市内の球団事務所で契約交渉を行い、現状維持9000万円の提示を保留した。今季10勝8敗と2ケタ勝利の右腕は会見で怒りをにじませた。またセットアッパー浅尾拓也投手(25)は4000万円増の年俸7500万円で更改。将来の守護神として期待料も込められた大幅アップだった。(金額は推定)

 朝倉の表情には怒りがにじんでいた。「ショックすぎて何も思い浮かばない。評価されていないと思った。本当はしたくなかったんですが、保留させてもらいました」。記者会見場では顔を紅潮させながら言葉をしぼり出した。

 交渉は30分足らずで終わった。自信を持って臨んだ朝倉だが、提示されたのは現状維持の9000万円。評価の理由を聞くと球団からは査定ポイントを説明された。「いろいろ説明されましたが、よく覚えていない」。1億円の大台復帰を希望する朝倉は納得がいかず、保留して席を立った。

 朝倉は昨年、右腕血行障害を患って3勝に終わり、2500万円の減俸となった。今季は「規定投球回&10勝」を目標に開幕から先発ローテ入りすると24試合、151回1/3で10勝8敗、防御率4・04。自身の目標をクリアした。「シーズン前は投げられるかどうかわからない不安の中で、今年は満点だったと思う」。本人は昨年の不振を取り返した満足感があったが、球団側の査定は違った。

 「彼は10勝という結果を主張するが、こちらは防御率、失点率など内容をポイント化している。10勝しなくても朝倉よりポイントの高い成績もある」。交渉した井手編成担当は双方の評価の食い違いをこう説明した。朝倉の場合、10勝でも4点台の防御率などがマイナスになったという。

 「来季への期待?

 まったく感じられなかった」。朝倉は厳しい表情のまま球団事務所を後にした。次回交渉は18日に行われる予定。10日の間に大きすぎる両者の溝は埋まるのか。【鈴木忠平】