西武涌井秀章投手(24)が1日、現状維持の年俸2億円プラス出来高払いの球団提示を保留した。西武ドームで契約更改交渉を終えると、ぶぜんとした表情で会見場に現れ「本当はダウンだったと聞いてビックリした。大事なところで勝てなかったと言われました」。感情を抑えながら、言葉を選んだ。シーズン終盤に調子を落とし、9月は4試合に先発して1勝止まり。チームも失速して優勝を逃した結果が、エースの査定にも反映された。

 沢村賞を獲得した昨季には及ばないが、チームトップ14勝(8敗)で防御率3・67。「昨年が良すぎた。今年は6割くらい。それでも5年続けてやってきた」と主張。5年連続2ケタ勝利に加え、今季は故障者続出のシーズン前半に奮闘し、チームを引っ張った自負がある。トレーナー増員など裏方の待遇改善も訴え「自分が粘らないと、他の投手も上がらない。そういうところでも引っ張りたい」と自覚をのぞかせた。

 前田球団本部長は「勝ち星を伸ばしてほしかった。14勝は立派ですが、彼にはもっと高いレベルを求めています」と説明した。次回交渉では代理人同席も検討するエース。簡単には引き下がらない。【柴田猛夫】