侍ジャパンが先発陣を刷新する可能性が高いことが4日、分かった。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表の8日から東京ドームで行われる2次ラウンド進出が決まった。この日は試合がなかったが、キューバが12-0の7回コールドで中国を下し、A組2位以内が確定。必勝を期す8日の2次ラウンド初戦の先発は能見篤史投手(33)が最有力候補に浮上。エース田中将大投手(24)がやや不調なことから、絶好調な左腕に命運を託すことになりそうだ。

 山本浩二監督(66)が有言実行で、決断を下す可能性が、高くなった。本番直前に選手起用の指針の1つに「コンディションが良い選手」と話していた通り、2次ラウンドから先発陣の見直しを図ることになりそうだ。

 山本監督

 2次ラウンド進出が確定したことは、なによりの結果だ。これからも厳しい試合が続くので、チームの結束力を武器に目の前のゲームを1戦、1戦、大切に戦っていきたい。チーム関係者全員がそれぞれ与えられた役割をまっとうし、大きな目標へ向けて前進していくのみ。

 ヤマ場で浮上することになりそうなキーマンが能見だ。相手は日本のA組、台湾などがいるB組の順位が確定するまで未定。それでも抜群の仕上がり具合と好調さを買って、2次ラウンド初戦に抜てきされる公算が大きくなった。

 大一番と重要視するからこそのプランになりそうだ。1次ラウンド初戦(2日)のブラジル戦で、田中-杉内-摂津-能見と先発可能な駒をつぎ込み、守護神牧田へと継投した。山本監督の短期決戦を勝ち抜くための鉄則が「先手必勝」。2次ラウンドも同様で、初戦がその後を左右するとみている。山本監督はこの日、「2次ラウンドの(投手編成)はこれからだけれど言えない」と貝になったが、阪神のエースを大役に指名する見込みだ。

 強い信頼と誤算が、方向転換を迫られる理由の1つになったようだ。能見は2日ブラジル戦で1回を1三振無失点と完璧な試運転。本番前の強化、壮行試合でも2試合で計5回を2安打無失点、9三振と好調さは突出していた。本来なら田中だが、ブラジル戦で2回4安打1失点と本調子にはほど遠い内容。山本監督は田中の起用法についても「何も言えない」としたが、中継ぎへの配置転換も視野に入れているとみられる。

 能見が最有力になりそうだが、3大会連続出場の経験と実績十分の杉内、高い安定感を見せている摂津も候補になりそう。落としたくない一戦だけに、その3人による盤石な継投で初戦を確実に奪いにいく可能性も考えられる。「この(1次ラウンド)2試合からも分かるように、やはり国際試合は楽には勝たせてくれない」と、山本監督はにらんでいるだけに、最善の一手として全幅の信頼を置くサウスポーにかける。

 ◆過去2大会の先発投手

 06年は3人、09年は4人が先発。06年は上原(巨人)松坂(西武)渡辺俊(ロッテ)の3人で、1、2次リーグともに3人が同じ順番で登板した。09年の4人はダルビッシュ(日本ハム)松坂(レッドソックス)岩隈(楽天)内海(巨人)。内海の先発は準決勝進出が決まった後の第2ラウンド韓国戦だけ。試合日程や方式が過去2大会とは違うが、初戦から4試合で4人が先発したことはない。