キレッキレだ! 侍ジャパンの広島菊池涼介内野手(26)が8日、シート打撃でみせた。変化球に反応して左中間への二塁打を放つと、二塁走者として、浅いセンターへの飛球でタッチアップ。抜群のスピードで三塁を陥れた。守備でも二遊間への打球をスライディングキャッチして二ゴロに仕留めた。抜群の野球センスと嗅覚は健在だ。

 地面を蹴る音が、状態マックスまで間近であることを感じさせた。二塁走者の菊池は、センター定位置への飛球に反応した。下水流が捕球する直前にハーフウエーから一気に帰塁。すぐさまタッチアップに入った。低い体勢からグングン加速していく。そしてスピードを落とさないスライディング。悠々と三塁を陥れた。仕上がりが早い広島のなかでも、段違いのスピードだった。スタンドも一瞬で沸き上がった。

 「(投手交代直後の無死二塁で)ケース的には無理しなくていい場面だけど、チャレンジしてみたかった。アウトになってもいいからいってみようと。そこまで(体が)マックスじゃないなかで、疲れもあるなかでもいけたのはよかった」

 昨季最多安打のバットも健在だった。第2打席で九里と対戦。カウント1-1からの設定で、1球見極めて2-1。バッティングカウントからの緩い変化球を見逃さなかった。ライナー性の当たりで左中間を割った。二塁打とし「打たないといけないと思ったし、ホッとしたという思いがある。結果よりも、(後の打席も含め)変化球に反応出来たというのが良かった」と胸をなで下ろした。

 もちろん、この日も4年連続ゴールデングラブ賞の守備は堅実。二遊間への打球にスライディングキャッチし「距離感とか早い打球はまだまだ。(侍ジャパンでは)人工芝だし、慣れていきたい」と振り返った。

 侍ジャパンでも、その存在は貴重だ。菊池自身も「日本の野球はスキをつく走塁、セーフティーバント。大事なところだと思っている」と理解している。中軸へとつなぐ潤滑油としても、守備職人としても、走塁でも、万能の活躍が期待される。日本野球の申し子的な存在。広島、日南の次に沸かせるのは世界だ。【池本泰尚】