侍ジャパンが世界一奪還を目指すワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の開幕投手は、ロッテ石川歩投手(28)が濃厚になったことが17日、分かった。3月7日の第1ラウンド初戦、キューバ戦(東京ドーム)は、当初日本ハム大谷翔平投手(22)が先発予定だったが、右足首痛で出場を辞退。小久保裕紀監督(45)を中心にローテーションを再編し、昨季14勝(5敗)を挙げた安定感抜群の右腕に、白羽の矢を立てたとみられる。

 日本の命運がかかるWBC初戦のキューバ戦先発は、ロッテ石川に託される可能性が高まった。大谷が出場辞退した直後は、楽天則本が有力視されたが、ジョーカー的な存在として初戦は中継ぎ待機し、3月11日予定の2、3位を決めるプレーオフに回った場合や、第2ラウンド初戦となる同12日の先発に備える。

 開幕投手候補には大谷代役として選出されたソフトバンク武田も残されているが、石川は1月24日の日本代表発表時から選出され、WBC球を使った調整に長い時間をかけてきた。武田もWBC球への対応を急ピッチで進めているが、石川の調子はここにきて際立ち安定感に対する首脳陣の評価も一貫して高かった。

 石川が開幕戦に先発することで、3月8日の第2戦、オーストラリア戦は予定通り巨人菅野を投入できる。同10日の第3戦の中国戦には武田の先発が可能になり、先発4本柱による、世界一奪還を目指すローテーションが固まってきた。

 石川はこの日、石垣島で行われているロッテキャンプでブルペン入りし、65球を投げ込んだ。「クイックも入れていかないと」と、終盤は走者を背負った場面を想定し、より実戦に近い形で投球練習を行った。

 石川のブルペン投球を捕手の後ろから視察したプロ野球の熊崎勝彦コミッショナー(75)は「球に威力がある。素晴らしい。突っ走らず、うまく調整してほしい。本番で100%の力を出せるようにしてほしい」と激励。石川は熊崎コミッショナーと握手を交わし、期待を一身に受け止めた。

 重圧がかかる開幕戦の先発だが、マイペースが持ち味の石川なら、冷静な投球が期待できる。力強い直球に、決め球シンカーのコンビネーションを軸に、強打のキューバ打線に挑むことになりそうだ。