WBC球を「魔球」に変身させる! 阪神藤浪晋太郎投手(22)が今日22日、阪神の沖縄・宜野座キャンプを午前中で打ち上げ、侍ジャパン合宿地の宮崎に移動する。21日には意気込みを語り、1月からなじませてきたWBC球の扱いに手応えをにじませた。WBC球は滑りやすく変化球の曲がりも大きくなるが、「それを逆に利用できれば」ときっぱり言い切った。

 3カ月近く、丁寧に手になじませてきたボールだ。特徴は頭にインプットしてある。藤浪はWBC球の扱いについて問われると、頼もしい言葉を並べ始めた。

 藤浪 滑るところはある。抜けたり、変化球が曲がりすぎるところがある。それを逆に利用できたらと思っています。あとは制御してコントロールしていけたらいいかなと思います。

 昨年11月の侍ジャパン強化試合後、WBC球と同じ仕様のMLB球を2ダース支給された。滑りやすさを克服するために新品の投球にこだわり、24球だけでは物足りず、数ダースを追加で自費購入もした。キャッチボール、ブルペン、実戦マウンド。段階を経る中で「慣れはあります」。WBC球仕様の投球スタイルを作り上げるつもりだ。

 藤浪 全球種、(曲がりが)大きい。真っすぐでもちょっと違えばシュート回転するし、フォークも大きく落ちる。よくキレる。これをうまく利用できればと思っています。ストライクが入れば、それは悪いことではないので。

 事実、WBC球を使ったマウンドでは結果が出ている。8日紅白戦は2回無失点。13日の練習試合DeNA戦も2回無失点だった。19日の練習試合・日本ハム戦は5回1失点。ツーシームが曲がりすぎて右打者に死球2個を与える場面もあったが、軌道のイメージを修正すれば問題はなさそうだ。

 藤浪 代表戦はチームの優勝が何より。与えられたところを全うできるように。フォア・ザ・チームの精神で世界一を目指したい。

 “半ドン練習”となったこの日はブルペンには入らず、キャッチボールや打撃練習などで汗を流した。今日22日の午前中で阪神キャンプを打ち上げ、侍ジャパン合宿地の宮崎に空路で移動する。「しっかり状態を上げてきた」。準備に悔いなし。藤浪が「魔球使い」に変身する。【佐井陽介】

 ◆藤浪の変化球 カットボールとツーシームが軸。WBCに向けてはツーシームなどを試行錯誤。特に右打者の内角に沈んでいくイメージだったツーシームは、WBC球を使うと曲がり幅が大きく、横滑りする。