具志堅用高会長の秘蔵っ子、比嘉大吾(19=白井・具志堅)が、7月24日にタイでWBC世界ユース・フライ級王座を獲得した。日本人が世界戦で1分け18敗と勝利のない地で、無敗の有望株コンファー・CPフレッシュマート(20=タイ)を破った。初回終了のゴングが2分30秒で鳴らされるなど、採点も含め地元びいきは明らかだった。だが、会長から「倒しに行け」と指示を受けた7回、2度のダウンを奪うKO勝利で王座を奪取。デビューからの連続KO記録も7に伸ばし、一躍注目を集めた。

 比嘉は具志堅会長と同じ沖縄出身。宮古工高で沖縄大会を制するも、全国では3年時の国体ベスト8が最高だった。同学年にはWBOミニマム級王者田中恒成、東洋太平洋スーパーフライ級王者井上拓真がいた。帰国した比嘉は「高校時代は2人は雲の上の存在。今は追いつけ追い越せという気持ちはある」とライバルへの熱い思いを口にした。

 魅力は攻撃的な戦い方と、軽量級離れしたパンチ力だ。高校時代の練習を見てほれ込み、自ら声をかけたという具志堅会長は「初めて見た時からプロ向きだと思ったんだ。パンチ力がすごいし、相手から逃げないのがいいね。逃げて世界王者になった沖縄出身のチャンピオンは1人もいないから」と愛弟子を絶賛した。

 規定では日本王座か東洋王座を獲得しなければ国内での世界戦はできない。具志堅会長は、自身と同じ9戦目での挑戦も見据え「受けてくれるのであれば、どこでも誰とでもやる。金をかけて世界戦をやるんじゃなくて、世界王者になって金を稼げばいいんだよ」と海外挑戦も歓迎だ。あどけなさの残る19歳。敵地で取ったベルトを誇らしげに肩にかけると「団体とか関係なく、いっぱいベルトをかけたいですね。プロレスラーみたいで格好いいじゃないですか」とはにかんだ。

 具志堅会長が沖縄出身者初の世界王者となって、来年でちょうど40年。浜田剛史、平仲昭信らの系譜を次ぐ豪腕世界王者は誕生するだろうか。【奥山将志】