夏の世界戦ラッシュが終わった。数年前から年末が恒例になり、年に3、4回集中開催の流れになった。今年はリオ五輪があり、海外も含めて大会後に集中した。日本勢の内外での世界戦は8月20日から9月24日まで9試合あった。

 五輪期間中だったが日本人対決で始まった。加納の国内最年少王座への思惑が見え見え。高山が負傷判定勝ちと不完全燃焼も、実力の違いも明らかだった。

 続くはダブル世界戦でワタナベジムのコンビが登場した。トリとなる内山が不在で盛り上がりは今イチ。河野は序盤何もせず、そのツケで王座から陥落した。7月に晴れて挙式し、3度目の挑戦で奪取のころに比べ、ハングリー精神を欠いていたか。

 田口は初のKOを逃すもメイン抜てきに応えた。完勝で安定王者の趣すらうかがえた。宮崎はしきりに挑発して2階級制覇へ自信も、口ほどになくほとんど何もできず。リングに上がった時には泣いていた。みじめな減量失敗から再挑戦にこぎ着け、最後の思い出づくりの試合!? ファンはガッカリだった。

 井上は期待が大きいだけに不満が残った。仕留めたのはさすがも、腰痛にまた拳を痛めて時間がかかった。衝撃の2階級制覇を知る者には物足りない。直後には標的が海外で決戦があった。

 帝拳ジムと契約するグアドラスとゴンサレスが激突した。ロマゴンが勝利も最後まで倒せず、反撃に見たこともないほど顔を腫らせた。ロマゴンでも階級アップは苦しいか。井上との大決戦へ期待が高まるが、やはり井上の拳が心配になる。

 この間に小原がロシアで初挑戦した。久々の中量級に期待もリング下にまで突き落とされた。日本では重量級の壁はやはり厚い。盛り上がりがいまひとつの世界戦月間だったが、最後の最後にいいものを見せてもらった。

 長谷川が見事に王座へ返り咲いた。全盛時を思わせる9回の打ち合いはすごかった。あの時点で採点は2-1。最後までいけばどうなったかという接戦。長谷川の意地に、王者がまさに心を折られた一戦だった。

 その熱戦に刺激を受け、山中はモレノに完全決着のV11となった。前回パンチが3センチ届かず接戦。その3センチへ試行錯誤したが、今回はモレノも勝負と出てきたことで逆に30センチ? 近くなったか。4度ダウンを奪うも、山中もダウンでより盛り上がった。

 最後にリナレスが英国で王座統一して世界戦月間を締めた。次は12月からになりそうだ。村田は来年に延びるようだが、内山の再起戦が組まれそう。今度はどんなカードが組まれるか、今月中には発表されるはずだ。【河合香】