WBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(23=大橋)が9月4日に神奈川・スカイアリーナ座間で、同級3位ペッチバンボーン(タイ)と3度目の防衛戦(日刊スポーツ後援)を行うことが決まり、18日に都内で会見を行った。日本王座を獲得した13年8月以来の地元凱旋(がいせん)で、豪快なKO決着を予告。9月にWBC同級王座に挑む無敗の3階級王者ローマン・ゴンサレスとの統一戦にも強い意欲を示した。

 井上が「本気封印」でベルトと拳を守る。昨年手術を受けた古傷の右拳は、5月のV2戦でも序盤に痛め、左手一本での戦いを強いられた。強打者の宿命でもあるが「フルで打つと、どうしても痛める。今回は7~8割の力で戦う。力を抜いても、タイミングとスピードがあれば倒せる」と16連勝中のペッチバンボーン攻略に自信を示した。

 快勝を誓う理由もある。全階級を通じて「最強」の呼び声高い45戦全勝のゴンサレスが、9月10日にWBCスーパーフライ級王者クアドラスに挑戦。4階級制覇を果たし、同じ階級の王者となれば、世界が期待する「夢対決」も現実味を帯びてくる。「予想ではロマゴンが勝つと思う。やる時期が近いのかなと思うと楽しみ」と声を弾ませた。

 大橋会長は「来年には米国で同じ興行に出るという話もある」と明かし、「最高のタイミングで実現させるためにも、目の前の相手に圧勝し続けてほしい」と期待を込めた。前回の試合で世界戦初の判定決着に終わった井上も、地元でのV3戦にかける思いは強い。「今回はインパクトを残したい。ファンに期待されなくなったら終わり。KOを狙っていきます」と言い切った。ボクシングを始めた原点の地で、ビッグマッチにつながるKO街道を歩み出す。【奥山将志】