村田はこの日、午前9時半ごろに滞在していたホテルのロビーに姿を現した。「エンダムが今日帰ると聞いたのであいさつしたかった」。同宿だったため、内線電話で部屋に連絡して意思を伝えると、エンダムも快諾。会って握手を交わし、15分ほど談笑した。「互いにベストを尽くせた。素晴らしい経験をさせてくれてありがとう。昨日は敵だったけど、今日は友だね」。村田の言葉にエンダムも「また会えるのを楽しみにしている」と返した。最後に2人は連絡先を交換した。

 村田はWBAの再戦指令に関しては「僕が決めることではない。判定というより、もっとああすれば、こうすればと考えてしまう」と振り返った。一切の不満を言わず、対戦相手への敬意、感謝を表した。今後はどうなるのか。「今月はゆっくり休みたい」。そう言い残して、都内の自宅へと向かった。【阿部健吾】

 ◆WBAミドル級王座決定戦VTR 村田がガードを固めて前に圧力をかけ、好機に右ストレートを狙う。エンダムは素早いフットワークで周回しながら手数を多く出す展開が初回から続いた。4回にはカウンターの右ストレートで村田がダウンを奪う。以降も同じような展開が続いたが、村田のジャブ、ガードの上からのパンチにエンダムがぐらつく場面も多かった。判定1-2(117-110、111-116、112-115)。米国人ジャッジは村田の有効打を支持し、パナマとカナダのジャッジはエンダムの手数を優勢とした。村田は「第三者の判断が全て」と不平は口にしなかった。

 ◆WBA 世界ボクシング協会。1921年に米国17州の加盟で設立された世界最古のボクシング機構。当初はNBA(全国ボクシング協会)の名前で、62年にWBAと改称。本部はパナマ。