ボクシングのミドル級頂上決戦は、WBA世界同級王者村田諒太(32=帝拳)にとっては、長く険しい道を歩む結果となった。

15日(日本時間16日)に米ラスベガスで開催された2団体統一(WBAスーパー、WBC)世界同級級タイトルマッチ12回戦。挑戦者のカネロこと元2階級制覇王者サウル・アルバレス(28=メキシコ)が、8年間王者だったゲンナジー・ゴロフキン(36=カザフスタン)に2-0の判定勝ちでプロ初黒星をつけ、1年ぶりの再戦に決着をつける結果となった。生中継したWOWOWでゲスト出演を終えた村田は、アルバレスの勝利に「遠ざかりますよね、興行的には。またしんどい道が始まる」と率直な心境を述べた。

遠ざかる理由は、ゴロフキンとの縁にあった。ミドル級に君臨し続けた絶対王者とは交流があり、WBA王座統一戦として東京ドームでのビッグマッチに関心も示していた。10月20日に米ラスベガスで同級2位ロブ・ブラント(米国)とのV2戦が控える村田も、次々戦の明確な目標として、国内ボクシングの恩返しという意味でも、標的を明確に定めていた。ゴロフキンが勝ってほしい…。戦前にはその気持ちはあったはずだ。

メキシコ出身のアルバレスは、米国での人気は群を抜いており、日本に呼べる可能性は限りなく低い。興行的な観点から、「2、3段階ステップを踏まないと、カネロは出てこない。たどり着けないと思う」と冷静に現実を見据えた。

正直ショックはあるだろう。ただ、「いちいち自分自身が揺れ動いていてもしょうがない。次の試合に集中するだけ」と気持ちは切れてはいない。むしろ、新たな覚悟を決め、より本場でアピールする必要性も痛感している。「証明すべき事がまだまだある」と泰然と述べた。