【KENTA特別インタビュー3】

 ノアの反体制派ユニット・ノーマーシーを率いて、改革を目指すKENTA(30)。ノアのシングル最強を決めるグローバルリーグ(GL)戦に参戦中。そして27日には東京・有明コロシアムで潮崎豪(29)の保持するノアの至宝・GHCヘビー級王座に挑戦する。その一方で先月16日、金丸義信(35)と保持したGHCジュニアヘビータッグ王座を、青木篤志(34)鈴木鼓太郎(33)組に奪われた。

 「できれば全てのタイトルを独占したい。悔しい思いもあるけど、持っていても、持っていなくても関係ない。持っていようがいまいが、話題の中心にいられる存在になっている」。

 その思いが、潮崎と谷口周平(35)が奪回に失敗したGHCタッグ王座への挑戦名乗りにつながった。帝王・高山善広(45)とのコンビは、8月の2デイズタッグトーナメントで優勝を飾っている。

 まるでKENTAのために用意されたような今年のGL戦。ヘビー、ジュニアヘビーの境を取り払い、ジュニアヘビーでKENTAと熱い戦いを繰り広げてきた金丸義信(35)鈴木鼓太郎(33)も参戦する。

 「気が抜ける試合というのは、1つもない。それは、相手が強い、弱いという単純なものではない。(前GHCヘビー級王者)杉浦貴戦であろうと、鈴木鼓太郎戦であろうと、いい内容で勝たなくては、後がない」。

 GHCジュニアタッグ王座を争ったライバルの青木はGL戦に不出場。聖地・後楽園を最もわかすKENTAと青木の対決は、GL戦では見られない。

 「俺の立場から言えるのは『認められていない』。そういうことなんだと。まだまだ、そういう位置じゃない。しっかりやれ。言って、やって、さらに見ている人の支持、声がなかったら形にならない。悔しかったら、それくらいのことをやってみろ」と檄(げき)を飛ばす。それは自分の歩いてきた道のりへの誇りが言わせる言葉だ。

 そして、もう1人。GL戦でリベンジをしなければならない相手がいる。6月11日の一騎打ち、場外で机の上に筋肉バスターをくらい失神してレフェリーストップ負けしたモハメドヨネ(35)だ。ヨネを倒さなければ、たとえGHCヘビーのベルトを巻こうともファンは納得しない。

 「もちろん、それは自分自身も思っている」。

 遠回りしたり、負けたり、1つ1つを乗り越えて前進している。そのKENTAの前に、最大のターゲットにしてライバルが帰ってくる。副社長でもある丸藤正道(32)だ。かつてはタッグを組み、GHCジュニアヘビー級タッグ王座を獲得したが、進む道が分かれた。今年4月には、KENTA自ら病院送りにした。その丸藤が、27日の有明コロシアム大会で、前GHCヘビー級王者・杉浦貴(41)との一騎打ちで7カ月ぶりに復帰してくる。

 「どの程度で復帰してくるのか分からない。趣味・復帰だから(笑い)。復帰好きだからね。戦う相手が増えて、メンバーがそろうのは、いいこと。でも、もし中途半端な感じで帰ってくるなら、また遠慮なく行かせてもらう。また来年、復帰することになるよ」。

 主役の座は誰にも渡さない。強い決意だ。自分がノアの主役として改革を進め、ファンの熱い思いを受け止める。それがKENTAという男だ。【小谷野俊哉】