<全日本:岐阜大会>◇6日◇岐阜産業会館

 船木誠勝(41)が8月に全日本参戦後、初のタイトル奪取に成功した。世界最強タッグ決定リーグ優勝決定戦で武藤敬司(46)と組み、諏訪魔(33)河野真幸(29)組と対戦。26分13秒、河野をフランケンシュタイナーで撃破した武藤をアシストした。98年4月にパンクラス王座から陥落以来、約11年8カ月ぶりのタイトル獲得となった。

 船木が必死に武藤のアシストをした。世代交代を掲げる諏訪魔とは強烈な張り手合戦。河野には得意の浴びせ蹴りを見舞った。プロレスへと導いてくれた武藤の35タイトル目をおぜん立てし、「苦しんだ部分もあったけど、やりがいがあって、こうして優勝できて、選んだ道は間違いじゃなかった」と振り返った。

 家族にささげる優勝でもあった。プロレス復帰後、3カ月が経過。慣れない巡業から帰宅すると、いづみ夫人がアロママッサージで疲労を取り除いてくれた。1日の後楽園大会で諏訪魔、河野組に引き分けて帰宅すると、観戦していた4歳の長男ライアン君から「なんでやられてんだ」と怒られた。「家族には感謝している。優勝という土産を持ち帰りたい」と闘志を燃やしてリングに立った。

 故馬場さん、故鶴田さん、故三沢さんら日本のプロレス界を代表するレスラーが手にしたトロフィーを受け取り、プロレス人生に新たな1ページが加わった。武藤は「新年早々にも、ケア、鈴木組に挑戦する権利を得た」と、船木とのタッグを継続して世界タッグ王座に挑戦する意向を示した。その横で、船木は誇らしげに胸を張った。【塩谷正人】