31日の「Dynamite!!」で引退試合に臨む魔裟斗(30=シルバーウルフ)は30日、新宿ステーションスクエアでの公開記者会見に出席し、KO勝利を予告した。

 気温12度と肌寒い新宿の夕暮れに、魔裟斗はスーツ姿で登場した。集まったファンからの歓声にも厳しい表情は変えない。「悔いの残らない最高の試合をする。すごく熱い、激しい打ち合いになると思う」と語りかけ、最後はこう締めた。「KO決着して、人生の大きな土台にしたい」。引退試合だろうが関係ない。強気でならしてきたK-1のカリスマは、2戦2敗のサワーの前で、高らかにKO勝利を宣言した。

 女優の矢沢心夫人も同行して臨んだ計量は、リミットの70・0キロで一発パスした。00年のK-1デビュー以前から、制限体重ちょうどでパスする「魔裟斗ルール」を最後まで貫いた。「69・9キロだと100グラムもったいないかなって。無駄に落とす必要はないですし、100グラムでも嫌。いつの間にかこだわりになっちゃいましたね」。計量でオーバーすると試合ができない。その恐怖よりも、魔裟斗は100グラムでも下回って100%の実力が発揮できなくなることを恐れてきた。

 「こつが分かっているから簡単ですけどね」と笑うが、肉体の変化に対応しながらの「ルール順守」は容易ではない。それでも、自分に厳しい男らしく今回も完ぺきに仕上げた。谷川EPは「デビューから70・0キロ。めちゃくちゃ完成されている。今までになく強い感じ。『本当に辞めるの?』って感じ」とうなった。

 会見後、魔裟斗は声援に気付き、足を止めた。声の先に向けて右手を振ると、表情を少し緩めた。あとはリングで見せるよ-。その笑顔が、最高のフィナーレへの準備が整ったことを表していた。【浜本卓也】