WBA世界スーパーフェザー級3位の内山高志(30=ワタナベ)が、9人で結成された「チーム内山」で世界王座奪取を目指す。11日の同級王者ファン・カルロス・サルガド(25=メキシコ)挑戦(東京ビッグサイト)を控えた9日、都内のジムで練習を打ち上げた。世界挑戦決定後の昨年12月に結成された計9人のスタッフによるバックアップ体制が功奏し、決戦へ万全の体調に仕上がった。

 5ラウンドのミット打ちを終えた内山に、周囲から拍手が起こった。計量前日とは思えない鋭い動きに、渡辺会長は「すごくいいね」と目尻を下げた。内山も「減量もうまくいっているし、試合が明日でもいいぐらい」と、気持ちよさそうに汗をぬぐった。その様子を「チーム内山」の面々は満足そうに眺めていた。

 昨年12月、内山をサポートするための「チーム内山」が結成された。通常、1選手には1人の担当トレーナーがつく。内山もそうだったが、男子では世界挑戦に5度失敗している渡辺会長は「1人だと目が行き届いていなかった。担当が休みの時とか、他の人が見ると混乱も出た」と、ジムの総力を結集した異例の9人体制を決断。ジム内に「プロジェクト・チーム内山」と題した資料を配布。他選手を見るトレーナー陣にも内山への全面サポートを要請した。

 ジムワークでは常に3人以上のスタッフが内山につく。高橋チーフトレーナーは「最初はどうすればいいか分からなかった」と話すが、役割を明確化して機能しはじめた。練習中、指示を出すのはチーフのみ。サブはリング内でのミット打ちなどを担当、サポートはリング外でチーフと別角度から観察し、気づいたことを報告する。補助は汗ふきや給水のほか、霧吹きでジム内の湿度も保つ。メンタルサポートは会話から心理状態をつかむ。それらの報告を書記が資料としてまとめ、チームの意思統一をはかった。内山は「すごくやりやすかった」と集中して練習に打ち込めた。

 渡辺会長は「ここまでは大成功」と成果を強調した。内山も「調子はすごくいい。みんなの期待にこたえたい」と力を込めた。「チーム内山」プロジェクトが、最高の結末を迎えようとしている。【浜本卓也】