挑戦者のピリピリムードも、4度目の防衛を目指すWBC世界スーパーバンタム級王者西岡利晃(33=帝拳)には関係なかった。27日の検診後、立ち上がった西岡とバルウェグ・バンゴヤン(23=フィリピン)の視線が一瞬、交錯した。鋭い視線を浴びたが、冷静さは保ったまま。「印象?

 特に何も感じなかったです」と王者の風格を漂わせた。

 「すごく調子が良い。最高潮」と自負する状態の良さが、心にゆとりを生んでいる。現在はボクシングに集中するために兵庫に住む家族と別居状態で、食事は美帆夫人が作って冷凍したカレーなどを宅配便で送ってもらっている。減量中の今は「美帆が作ってくれたスープです」とにっこり。家族の愛情いっぱいのサポートが、西岡のコンディションをさらに高めている。

 一方、バンゴヤンは強気の姿勢を貫いた。検診ではナックルの数値で西岡を上回り「私のパンチが当たれば彼はダウンする可能性が高いということ」と語気を強めた。「初めて会ったが怖くなったとかまったくない」。最後まで表情を緩めることはなかった。